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夜のダイヤモンドのsonozyのレビュー・感想・評価

夜のダイヤモンド(1964年製作の映画)
4.5
チェコのヤン・ネメッツ監督作。1964年の白黒作品。
原作は作家アルノシュト・ルスティクが自らの体験をベースにした同名短編小説。

貨物列車から飛び降り必死で森へ逃げる二人の若者。
背中に大きく「KL」と白いペンキでなぐり書きされたコートを脱ぎ捨て、「止まれ!」という声と銃声が響く中、無言で走り続ける二人。
手持ちカメラによる緊迫感溢れるオープニング。

水も食料も持たない手ぶらの二人は、体力消耗の限界。
民家を見つけ、パン数切れと牛乳をもらうと、再び森の中を進むが・・・

セリフはほとんど無く、状況説明も劇伴もなし。
二人の息遣い、足音、環境音。二人を捉える手持ちカメラ。多用されるフラッシュバック映像(過去や幻覚・夢)に引き込まれる作品です。

彼らが脱ぎ捨てた「KL(ナチスの強制収容所)」コートから二人が迫害を受けているユダヤ人であることや、多用されるフラッシュバック映像から、プラハの村で平和に暮らしていた様子などを見る側が想像しつつの、ラストも絶妙の67分間でした。

マンハイム=ハイデルベルク国際映画祭(ドイツ): グランプリ
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