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セックスと嘘とビデオテープのHIROのレビュー・感想・評価

3.8
夫ジョンは弁護士、妻アンは貞淑な主婦。
理想的な夫婦の日常は、夫の友人・グレアムの出現によって波風が立ってゆく。
ジョンの浮気に何となく気づいていたアンは、グレアムの向けるビデオカメラに心情を吐露することでセックスと嘘が絡み合う日常の虚構が暴かれていくお話。

スティーブン・ソダーバーグのデビュー作品。

とても文学的で上質な台詞劇を観ているようでした(≧∇≦)

「セックスと嘘とビデオテープ」という題名からただのぶっ飛んだ変態映画かと思ってたけど、全然そんなことはなくて人間の心情に深いところまで迫っている秀作だと思う。

アンはセックスレスと鬱病に悩んでいた。
アンにとってはセックスは心と心が通ってこそできるものだと思っていたけど、アンの妹シンシアは性に奔放でセックスとは体と体の繋がりだと思っていた。
そんなシンシアと不倫していたジョンは間違いなくシンシアよりの考え。
アンとジョンの考える男女の関係のすれ違いからアンはジョンとセックスができなくなっていたんだと思う。

1人の時はそういう気持ちになるけど、ジョンに触れられたらそんな気が無くなるのも、お互いに求めるものが違っていたからだと思う。

グレアムに惹かれたアンは少しずつ解放されていた。
グレアムはEDだったからこそ、アンは体だけではない、心と心の繋がりを感じたんだと思う。
だからこそカメラの前でセックスのことを語る気になったのかもしれない。
ラストは全てが解放されたようでなんだか清々しい気持ちになれた。

登場人物は少ないし、ほとんど台詞だけなのにここまで人を惹きつけてしまうソダーバーグはすごい!
これを26歳で作れてしまうのだから信じられない!
「セックスと嘘とビデオテープ」という強烈ながらもシンプルなタイトルがこの作品の全てを物語っている。

言葉にするのがとても難しい作品でほとんどレビューになってませんが、とても面白い作品でした!


余談だけど、ソダーバーグは昔、グレアムのように自分はEDでセックスについてのドキュメンタリーを撮っているからと言って、様々な女性にセックスを語らせ、安心させてから、実はEDではないと言ってセックスしまくっていたらしい。

この作品は、まさに最低な人間が作った最高の作品だと思う(≧∇≦)
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