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アントマンのHIROのレビュー・感想・評価

アントマン(2015年製作の映画)
4.5
仕事もクビになり、養育費が払えないため最愛の娘にも会えないスコット・ラング(ポール・ラッド)はハンク・ピム(マイケル・ダグラス)から体長わずか1.5センチになることができる特殊スーツを着用し「アントマン」になるようオファーされ、人生をやり直すための戦いに身を投じるお話。

マーベル・シネマティック・ユニバース第12作目であり、「フェイズ2」の最後を飾る作品。

2D字幕での鑑賞。

超超超超超好きな作品でしたよ!!!!!

アベンジャーズ1作目が公開され「フェイズ2」に突入し、一部作品を除いて何となくシリアスな雰囲気になって来た本シリーズ。今後もっともっと重苦しいシリーズになるのではないかと思っていたら、今作の質の高いコメディ要素、斬新なアクションシーン、そして少しホッコリできるような展開の連続にこのシリーズの偉大さを実感しましたね。
正直体長が1.5センチになって戦うなんて、なかなかおふざけが過ぎるような気がしていたし、何よりもヒーロー映画としての迫力や魅力に欠けるのではないかと思いきや、最高のヒーロー映画に仕上がっていましたよ!

まず僕が1番心を掴まれたのは主人公スコット・ラングのキャラ設定。
逮捕歴あり、仕事も無い、家族からも見放されている、完全に社会の底辺に位置するような人間。
でもそんな彼には娘という誰にも譲れない大切な存在がいるんですよね。ひたすら娘のことを愛し続ける彼のひたむきさに心を打たれました。
そしてその娘がめちゃくちゃ良い子だからまた感情移入させられる。いつまでたっても父親のことが大好きだし、愛嬌たっぷりだし、前歯は無いし、もうとにかくかわいい要素を詰め込んだような女の子。
スコットにもらった悪趣味な人形を心から気に入り大切にし続ける姿に僕の涙腺は完全にぶっ壊れてしまいました。
結構序盤ではありますが、この時点で号泣でありすでに意識が朦朧とし画面が見えにくくなっていたレベル。もし自分に娘が出来たならこんな風に育ってくれたらいいのにと1人妄想を始めてしまう始末。
とにかく健気な親子描写に弱い僕にとっては破壊力抜群の展開でしたよ。
ただ、こんなにも親子として良い関係を築いているように見えてもスコットは元嫁からはめちゃくちゃ嫌われているんですよね。確かにスコットはダメな奴だけど、彼女の態度はあまりにも辛かったです。
また、世界を守るためではなく、娘のヒーローになるためにアントマンになる展開もかなり好きでした。

そしてスコットを取り巻くキャラクター達もどれも魅力的な人物ばかり。

アントマンスーツの開発者ハンク・ピムを演じるマイケル・ダグラスがとにかくいい味を出していました。ちょっと偏屈だけど、過去に何かトラウマを抱えているであろう雰囲気に引き込まれました。
やはりベテラン俳優の醸し出す空気感はとてつもないということがよく分かりましたね。

ハンク・ピムの娘ホープを演じたエヴァンジェリン・リリーは最高に魅力的で一気に虜になりました。
スコットを一人前の戦士にするために実戦を教え込むんですが、その時の説得力がとにかく凄かった!三角筋から上腕筋にかけてのラインがとにかく素晴らしくて完全に見惚れてしまいました。
彼女になら思いっきり殴られてもいいと思った次第。
ハンク・ピムとホープの間には昔の出来事で確執があるんですが、この関係性がスコットとその娘の関係とどことなくリンクしていて、さらに感情を揺さぶられました。

悪役のダレン・クロスは敵なんだけど、どこか憎めないキャラクター。
かつての上司ハンク・ピムにただただ認められたい一心で悪事を働こうとする姿はまるで駄々をこねる子供のようで最後まで嫌いになれない存在でした。
スーツを着てイエロージャケットとして戦うところも最高にカッコ良かったです!

またスコットの友達もみんな愉快で面白い。
特にマイケル・ペーニャ演じるルイスは最高。お調子者でいい奴という完全に僕好みのキャラクターでした。マーベルとは複数の出演契約を結んでいるそうで、今後の活躍からは目が離せません。

物語のテンポがかなり良いところもこの作品の魅力のひとつでもあると思います。
スコットのキャラ説明→アントマンスーツ装着→修行→敵との戦闘という流れをどれも小気味良く、そしてユーモアを織り交ぜながら追っていくことで物語から一度足りとも目が離せないように作られていました。
正直ここまで面白いとは思ってもみませんでしたよ。

アクションシーンに関しては申し分ないほどの素晴らしさ。
巨大化と縮小化を繰り返しながら戦う様はあまりにも斬新。小さい世界で繰り広げられる戦闘シーンは凄まじいほど迫力に溢れているんだけど、実際に俯瞰から見てみるとただミニチュアがゴチャゴチャしている程度にしか見えないという描写がいちいち笑いを誘う。
予告編で何度も観たオモチャのトーマスのくだりは分かっているのに笑ってしまいましたよ。
一見何の変哲もない場所を縮小化することで壮大なバトルフィールドに変えてしまうところに演出の巧さを感じました。
蟻の大群を操って戦いに挑むアントマンはとてつもなくカッコ良いし、蟻のことが頼もしくて愛おしくなってしまうことは間違いなし。

アベンジャーズのあるキャラとのバトルシーンもかなり熱くなるし、要所要所で登場するアベンジャーズネタもファンとしては嬉しかったです。

マーベル・シネマティック・ユニバースのシリーズの中でもかなり上位に入るくらいに好きな作品になりました。
アベンジャーズの基礎知識はそんなには必要ではないと思うので、初心者の方も安心して楽しめるのではないかと思います。
今後アントマンがアベンジャーズにどう絡んで行くのかめちゃくちゃ気になるところであり、次作の「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」がとにかく楽しみで仕方がないです!!!



2015-97
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