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キングスマンのHIROのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
4.2
スパイ組織「キングスマン」の一員として活動しているハリー(コリン・ファース)。ある日組織の一員が何者かに殺されてしまい、その代わりにかつて命を助けてもらった恩人の息子エグジー(タロン・エガートン)をスカウトする。一方でIT富豪ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)が前代未聞の人類抹殺計画を企てていて、彼らが阻止しようとするお話。

スカッと爽快な作品でした!!!

結構エグいアクション満載ではあるけど、小気味良い音楽と合わさることで割とコミカルに、そして爽快さを感じさせる演出はお見事でした。
目にも止まらぬ速さで敵を蹴散らして行く様は最高でしたよ。

僕がとにかく骨抜きにされたのはコリン・ファース演じるハリー。
「マナーが人を作る」と言いながら不良共をいとも簡単にぶちのめしてくれるところは最高に気持ち良かったですね。暴力を振るう時点でハリーに関してもマナーもクソもないんじゃないかと思わなくもないけど、そういうところも含めて大好きでしたね。
絵に描いたような英国紳士ぶりは目の保養になることは間違いないし、その凜とした佇まいからは到底想像できないようなバイオレンスアクションはあまりのカッコ良さにメロメロでしたよ。
ラペルが広めのダブルのスーツも最高にお洒落でした。スーツは大好きなのでテーラーに置かれてあるスーツを堪能できたのも嬉しかったです。

ハリーにスカウトされスパイとしての頭角をメキメキ現していくエグジーのキャラ設定も良かったですね。
英国は貧富の差が激しいイメージだけど、彼のように貧乏な家庭に育った人間でも一流のスパイに成長するという過程は一見ありきたりではあるけれど、テンションは確実に上がります。
組織の無理難題で突拍子もない数々の訓練を知恵を振り絞ってクリアしていくところは面白かったです。
特に軍用機から飛び降りる訓練はなかなかスリルがあって良かったですな。

サミュエル・L・ジャクソン演じるIT社長ヴァレンタインの独特な雰囲気も好きでした。
チャラい見た目とは裏腹に無料でスマホを配るという善人さ。この辺は是非Microsoftのビル・ゲイツも見習ってほしいと思いましたね。
ただ、このスマホを使って増えすぎた人類を凶暴化させ人口を調整しようと考えるエコテロリストぶり。もはや原理がよく分からないけど面白いし、そんなクレイジーな奴なのに血が苦手というギャップも可笑しかったです。

スパイ映画ではお馴染みの数々の素敵なガジェットもテンションが上がりまくりました。
高機能な防弾傘や毒針が仕込まれた靴、ライター型の手榴弾など、どれもカッコ良かったですな。

そしてこれは映画ではない!というメタ発言をしながらも映画じゃないとありえないような終盤のキレキレアクションシーンは最高でした!!!!
教会でハリーが凶暴化したキリスト教原理主義者達を皆殺しにしていく画はもう100点の爽快さ。
髪を振り乱し狂気染みた表情を浮かべながら、身の回りの物を武器にして残虐な殺し方をしつつも、軽快な音楽をBGMにすることでこれ以上ないくらいにテンションを上げながら観ることができる。マシュー・ヴォーン監督のセンスには脱帽でしたよ。

エグジーのアクロバティックな戦闘シーンもキレキレだし、敵の女戦士ガゼルとの戦いは壮絶でした。目にも止まらぬ速さで足のブレードを振り回す姿の爽快感は凄まじかったです。
ただ、僕はエグジーよりもハリー派なのでハリーのぶっ飛んだアクションシーンがもっと観たかったのが本音ではあります。エグジーのアクロバティックな動きは事前に彼の身体能力の高さを示していたので良いものの、あそこまで戦闘能力が高いのは正直納得できないというか。戦闘の訓練をしていない人間が強いというのは僕はあまり好きじゃないんですよね。
映ってないだけで並々ならぬ戦闘訓練を受けていたのかも知れませんが、どうせならそういうシーンも観たかったです。
また、やっぱりスーツ姿はハリーの方が絶対カッコ良かったと思いましたね。エグジーも悪くないんですけど、やっぱり若すぎるのか何となく七五三に見えてしまいましたよ。
俳優としての魅力はコリン・ファースの方が上だと思いました。

と言っても全編に渡るハイテンションなノリは大好きです。
二転三転する終盤の展開は飽きさせないし、威風堂々な打ち上げ花火の展開は何度でも観たいほどの素晴らしさでした。

エンターテインメント性は抜群でクセになるようなバイオレンスシーンがテンコ盛りな作品。
映画館で観れたことを光栄に思える作品でした。



2015-99
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