山下監督だからちょっとずれた物同士のコミュニケーション風景は安定しているけど、妻夫木聡と松山ケンイチのキャラクターが徐々に浮き彫りになっていくのがサスペンス的ですらあって凄かった。
物語的に序盤から明らかに壊れていく話ということもあって良さげな雰囲気の中にも常に緊張感がある。
妻夫木聡は割と社会人初期にありがちななんか少し尖っていたいけどなんも出来ないやつで、松山ケンイチの世の中の真実を知ってしまった感じの話し方も上手い。
当時知らんけどたぶんこういう感じの人らが暴れてたんだろうという説得力がある。
ラストの呑気な「生きてりゃいいよ」を聞いた時の妻夫木聡の表情の変化のさせ方には震えた。
自分が特別な存在でなくても、自分を認識してくれてそう言ってくれる人がいるだけで、革命も何も要らない。でも何かをやったことも全部無駄じゃない。
自分探しを冷笑する風潮もどうかと思うし、人間絶対自分の存在に疑問を持つ瞬間があるわけだし、こういう映画は誰かの何かになるはず。