イチロヲ

女囚さそり 701号怨み節のイチロヲのレビュー・感想・評価

女囚さそり 701号怨み節(1973年製作の映画)
3.5
逃亡生活を続けている女性脱獄囚(梶芽衣子)が、全共闘運動家の青年(田村正和)に心惹かれていく。篠原とおるの劇画「さそり」を映像化している、東映「女囚さそり」シリーズの第4弾。梶芽衣子主演作は、これが最後となる。

前半部は、全共闘の呪縛を背負っている青年との交流劇がメイン。反体制運動の精神に同調したさそりが、淡い恋心を抱くところまで発展する。後半部からは、いつも通りの女囚ものだが、さそりが死刑囚として収監されるところが醍醐味。

さそりの敵対者として、私怨たっぷりの警部(細川俊之)が登場。「すぐには殺さずに、地獄の苦しみを味わわせてやる!」という、ダメな悪役の典型的な台詞を吐いてしまう。自らの敗北のフラグを、耳に心地よいバリトンボイスで丁寧に立てていく。

わずか三名の中心人物で物語が進展するため、前作までのサイケなグルーヴ感は消え失せている。これまでのシリーズを通すと地味な部類だが、監督の作家性を推し量りながら鑑賞する分には十分面白い。
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