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愛のお荷物の一のレビュー・感想・評価

愛のお荷物(1955年製作の映画)
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川島雄三、日活移籍第一作。『東京マダムと大阪夫人』では井戸端会議の妻たちをガーガー鳴くアヒルに例えていたが、この度はやたらと子供を作る男と女をガマガエルに例えてみせる(人間の妊娠検査にガマガエルを使っていたというのも驚きだが)。そこにはやはり人間に対する冷笑めいた態度が。そして川島お得意の一人二役に輪をかけて三橋達也は一人三役。仮病をしてみせた東野英治郎に対して高友子が「俳優座の東野英治郎みたい」と言ったりもする。三橋が劇中で発する“メロドラマ”への揶揄は、前作にあたる『昨日と明日の間』を淡島千景のメタ・メロドラマとして決着させたことと響き合っている。
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