青二歳

砂の女の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

砂の女(1964年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

新藤兼人“鬼婆”と並んでトラウマ映画のひとつ勅使河原宏“砂の女”。砂漠映画の中でもなんとも湿度の高い作品。変化する日常に馴染み親しむということは、それは或いは侵食されているのではないか。己はどこまで純粋でいられるのか。
突然砂の世界に放り込まれるも、徐々に馴染み、逃げることさえ望まなくなってゆく。いま男の関心は砂の世界における貯水装置ばかりである。
価値逆転の物語のようだけれど、ダイナミックな転換ではなく、それは静かな時間の経過による侵食であって、長い年月をかけて潮が岩を砕き砂丘が形成され地形が変化していくようである。

話は少し脱線しまして…某サイトのレビューであったんですが、この物語を日本の戦後民主主義の浸透になぞらえるのは微妙に本質からずれる気がする。そういう政治的な話じゃないんでは?と。例えば日本は戦後GHQによる統治を粛々と受け入れだけど、イラクなんかはどこまでも反発して統治になりゃしなかった。同じように空襲/空爆の被害を受けながら何が違うって日本が民主主義だったからですよね。アラブ社会の道理とは違う秩序があり民主的な治世と官僚体制が完成されていたから。
もちろんアメリカが持ち込んだ戦後民主主義は今までの日本にはなかったものだし、さらにアメリカが輸出したスポーツ、スクリーン、セックス(3S政策)の浸透をこの映画から考察するのはアリだと思うけど。戦前の日本がまるっきり民主主義でないようなレビューだったので気になりまして…安部公房はそういう事言ってんですかね。もう少し人間の本質的な話かと思ってましたが。だいぶ前に本売っちゃったからな…もう一度読み直してみます。

1番のツッコミどころは馬の見立てで気軽に子宮外妊娠て。子宮外妊娠はほっときゃすぐ死ぬんだぞ!( °Д° )
青二歳

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