モールス

うなぎのモールスのレビュー・感想・評価

うなぎ(1997年製作の映画)
4.0
冒頭、妻の不倫現場を目の当たりにして逆上した夫が妻を殺すショッキングなシーンがあります。
妻を刺し殺した夫を演じたのが役所広司さん。その後服役して、出所後の再生をテーマにした作品です。
出所した彼は、身元を引き受けてくれた後見人の助けを得て床屋を開業します。そしてある縁から清水美砂さん演じた女性と出会うことになります。彼女にも暗い過去があって…。不倫が原因で自殺未遂をした過去があったのです。
二人とも罪や問題を抱えた人間であり、その再生の難しさを今村監督の独自のタッチで表現されてます。同監督の現実的であり、抗えない事実を突きつける厳しさには毎度考えさせられます。
厳しい現実から逃げるように、うなぎに語りかける主人公がそこにしか心の拠り所を見出だせないのが痛々しかったですね。
そんな彼の希望が清水美砂さん演じた女性であり、本能的に彼女を救う気持ちになったのは人間本来の優しさでしょう。最後は完全なハッピーエンドではありませんが、希望が見えたところに本当の意味で現実を乗り越えようとする男と女の姿があったと思います。
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