RyukiW

二十日鼠と人間のRyukiWのネタバレレビュー・内容・結末

二十日鼠と人間(1992年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

【さまよえる蒼い弾丸】

見終わった後に様々な感情が頭の中を行き交っていました。
ある意味予想を裏切られた結末だったのですが、ある意味遅かれ早かれジョージのためにもレニーのためにも、二人の生活には終止符を打たねばならなかったはずで、ジョージとしては、殺さねば、今まで大切にしてきたレニーが殺される。ならばこの手で殺めなければという気持ちだったのでしょう。キャンディの後悔の言葉がジョージの銃のトリガーを引いたのでしょう。

かわいがっていたものを殺してしまう、あるいは殺さねばならないときというのがテーマでしょうか。その愛情を注ぐ対象を、殺すことなく上手く生かしていくためにはどうすれば良いのでしょう。
レニーはネズミや犬、女性を純粋さ故に殺めてしまいますし
キャンディもジョージも、愛するものを救うことは出来ないわけです。

限られた生活で、切れ者のジョージがレニーを救える最大限の努力はしたなと思いますが、彼が劇中でだんだんとレニーをどうしていくか、そのさまよえる感情が揺れ動く様子をゲイリー・シニーズがうまく表情に表していたのが、障害者を演じきったジョン・マルコヴィッチにも引けを取らない演技だなと思いました

未熟ながらも精一杯生きる人々、そのさまよえる蒼い弾丸がレニーの頭を撃ち抜いた時、レニーの頭の中は理想で満ちていたはずです。幸せな未来を夢に見ながらエデンへと旅立っていけたなら良かったと思います。
ジョージはジョージで、レニーから初めて離れ、レニーの魂を心に抱いて彼ならばどんな道でも成功できるのではないでしょうか?
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