このレビューはネタバレを含みます
大きなテーマとしては3つ
何気ない日常に溢れる愛の美しさ
死への恐怖は老いても拭えない、生を輝かせるしかない
家族だからこそ、近いからこそ遠くなる難しかさ
まず、淡々と一般家庭にありふれた光景を描いている映画だが
その中でちょっとしたシーン、セリフ、仲直りのシーンや、登場人物同士の気づきなど全てが、よく考えればとても尊い。
そんな派手ではないが胸に染み渡る美しさに溢れている。
本当に美しい愛は日常に密かに存在することを教えてくれる
死に関しては、死に一番近いノーマンが度々偏屈になり、人生に対して怒っているとされるシーンがある
心はまだ若いつもり。誰より自分が老いていることを認められていないが無理やり納得させるため卑屈になり毒舌を吐く。
まだこんなにも美しい世界で素晴らしい妻、愛する娘がいるのに死んでしまう不条理。歳を取っても満たされているからこそ拭えない恐怖感。
しかし、どうあがいても抗えないのが寿命。それならば残りの生を輝かせるしかない。勇気を出して新しいことをしてみるとか、娘と仲直りするとか、夫婦同士いっそう愛を深めるとか
そうやって少しずつやり残して後悔しそうなことを、なくしていくしかない
そして家族という難しさ
父と娘の不仲が描かれる。
不仲と言っても完全な不仲ではなくどこか素直になれない。
チェルシーの言う、普通になれない関係。
これに関しては悶々としながらも放置してしまってる家族が多いはずだ。
素直に愛してる、ありがとう、などの感情をダイレクトに伝えるのは他人には簡単だが近くなればなるほど難しくなる
それが親だとするとより一層。
そんな難しい家族という関係だが
ビリーという他人が挟まることで、ノーマンとチェルシーは何かが変わったのだろう
勇気を出して一歩歩み寄ったことは、大きな成長だった。
崩壊しているなら別だが、歩み寄れるところまで、やれるところまでやってみて絆を深めていくことは大切だろう。家族なのだから。
忘備録。