すずき

裏窓のすずきのレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
3.7
カメラマンのジェフは、美人で金持ちの恋人リザがいるが結婚する気もないが別れる気もない、割とクズい男。
彼は事故で足を骨折し、二ヶ月の車椅子ギプス生活。
その為、家から出られず、窓の外から隣のアパートを四六時中観察する事を趣味としていた。
しかしある時、アパートの一室に住まう男の様子がおかしく、その男の妻は部屋から消えていた。
彼は事件の匂いを感じ取り、調査という名目で、窓からの覗きを続けるが…

ヒッチコックの名作サスペンス。
メインのストーリーは、妻を殺害した容疑のある男の監視だが、それと並行して、他の部屋の住民達の生活も覗き見る事となる。本筋に関係ないサブクエストって感じでゲームっぽい。
それぞれの住民にそれぞれのドラマがあって、詳細は分からないんだけどその一部を垣間見る、「覗き」の楽しみに満ちた作品。
そして、逆に「覗かれる」恐怖も…。

部屋から出られない男が主人公だから、彼の部屋とそこから見る景色、の2種類のロケーションのみでストーリーが展開する。
こぢんまりしたスケールで話を広げていく展開は見事で、今リメイクしても面白い物が出来そうだし、舞台劇にも向いてそう。

難点は、主人公が殺人事件を確信する理由が、どれもイチャモンレベルの状況証拠で決定的なものではないから、ちと感情移入しづらい。
そりゃま決定的な証拠を見てしまったら警察に直ぐに電話して事件解決なんだけどさ。
例えば、死体を見た→警察に電話→(何らかのトリックで)見つからなかった、見間違いでは?みたいな流れが必要だったかも。
奥さんが旅に出たなら、結婚指輪が家にある筈ないわ!これが決定的な証拠よ!ってのはちょっと厳しい。
オチにもう一捻り欲しかった!

グレース・ケリーの多彩で煌びやかなファッションも魅力。
彼女、この映画で初めて見たけど、すげー綺麗なのな。
流石、映画女優としての活動期間は短いのにオスカー受賞、モナコのプリンスに見初められ公妃にまでなったお方やで!(Wikipedia調べ)