てんしの

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンのてんしののレビュー・感想・評価

5.0
16歳から5年間、パイロットや医師などになりきり詐欺をはたらいてきた男・フランクの、まさかの実話…!

ただの高校生のときは銀行に行っても相手にされず。
なのにパイロットの格好をしただけで周りの目が180度変わり、尊敬され一目で信頼される様が面白かったし、人のチョロさに笑えました。

しかしチョロいと言っても、フランクの悪知恵と行動力が成し得たこと。
普通の人間なら思いついても罪悪感と捕まるかもという恐怖で何もできませんし、マネできません…

奇妙にもFBI捜査官のカールと、追いかけ追いかけられる間ながらも不思議な絆を築いていく…
カールに毎年クリスマスイブに電話をするフランクには、詐欺を行っている時の図太さよりもどこか寂しさを感じました。

「嘘の中で生きる方が楽だ」というカールの名言。
騙している間は騙されている人間たちから恩恵をもらい楽に過ごせるでしょう。
でもウソを重ね続けることに何も生まれない。
人は偽造した自分で過ごすことに満たされず、虚しさと寂しさばかり募るものなのかもしれないと思わされました。

フランクが大人でそこを割り切れている人間であれば、ただただ最低の詐欺師として悪名を残したかもしれません。
しかし16歳の孤独な子供であったことが隙になり、敗因であり、しかしながら厚生にもつながったのかもしれないと思いました。
モデルとなった本人はどうかわかりませんが笑、物語としてはよかったです。


モデルとなったご本人は今現在もご存命で、金融詐欺のコンサルタント会社を経営されているとか。
「事実は小説よりも奇なり」とはまさにこのことです。
てんしの

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