KnightsofOdessa

不思議の世界絵図のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

不思議の世界絵図(1997年製作の映画)
4.0
[ある少女が大人になるまでの寓話] 80点

少女が大人になる過程を象徴的かつ抽象的に語ったシュリークの監督六作目。『不思議の国のアリス』なのかどうかはよく分からないが、取り敢えず主人公の女の子はルイ・マル『好奇心』のブノワ・フェルーに似ていたことだけは確か。コインを得て、新しい服を得て、新しい靴を得て、恋を得て、弟との邂逅を経て母の住所を得て、友情を得て、人生の教訓を得て、性を得て、母親の家にたどり着き、母親から旅立ち、地図を捨て去り、世界の果てからコチラへ戻ってくる。成長しましたね、という感じ。

婆さんが土に埋まっていたり、牛が空に吊ってあったり、地下室が浸水したりとシュールすぎるが、川を下る新郎新婦やレストランから逃げ出すときのロングショットなど好みのシーンも散見される。

しかし、『私の好きなモノすべて』『ガーデン』と決定的に異なるのが、各挿話の相互作用の欠如であり、単純にバラバラしている挿話を魅力に変換する能力を持ち合わせていないので、そこまで好きにはなれなかった。

というか、東欧映画の結婚式のシーン観てクストリッツァ思い出すのは最早病気の域だな。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa