いかすみ

つぐないのいかすみのネタバレレビュー・内容・結末

つぐない(2007年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます


久々に絶望しかない映画みた。

序盤の好きになっちゃいけないけど
お互い好きなのがみてわかる二人、
タバコに火をつけるシーン、
噴水で喧嘩するシーン、図書館のシーン、
全部綺麗で素敵で好き〜と思ってたけど、
二人が引き裂かれた後の
戦時中の描写の衝撃が強すぎた。

特になんか私すごいもの見てると思った浜辺のシーン。調べると、5分間をワンカットで撮影したらしい。


ージョー・ライト監督は「このシーンでは馬や機械や人の命といったものがすべて無駄に使われている。戦争というものがいかに無駄で無意味なものなのかを表現した」のだそうだ。また、プロデューサーの一人は「ダンケルクの戦いは、英雄的な戦略的撤退だと信じられている。だが実際に広がっているのは無秩序な混沌だ。規律は破られ、人は死に、物や機械は壊される。これは完全なる退却だった」とも語っている。


まさに無秩序な混沌だった。
ずっとロビーとセシーリアが再会できますように…!って気持ちで見てたけど、
このシーンでそういう感情がぶっ飛んだ。
浜辺にいる無数の兵士たち一人一人に人生があって、一人一人に大切な人がいて…って思うと、もう希望も何もない、今自分がこの世にいるのかあの世にいるのかもわからない、ただただ呆然と目の前の映像を見るしかなかった。

酒はたくさんあるのに水が飲めない。
自分以外にも故郷に帰りたい兵士たちが山ほどいる。
自分がいつ帰れるかなんてわからない。
それでもセシーリアに会いたい気持ちだけで前に進み続けるロビーが痛々しくて、
もう休んでくれ…って思った。


ブライオニーは死ぬまで一生
小さい時の嘘を後悔し続けていた。
もしかしたらブライオニーがあの時嘘をつかなくても、結局戦争で二人の仲は引き裂かれていたかもしれない。
でも戦時中だからこそ、二人に一瞬でも
幸せな日々を過ごさせてあげたかった。
生きる希望を与えてほしかった。


もうほんとつらいしんどい話だった。
でも二人はブライオニーを許してると思うよ。
許してるっていうか、既に起こってしまった事実として全て受け入れてると思う。
でもブライオニーからしたら一生自分を許せなかったんだろうな。

もう直接二人に謝ることもできない。
いっそ罵ってくれたら楽になれたのに。

ブライオニーがついた嘘も、
戦争という時代背景も、全部辛い話だった。
いかすみ

いかすみ