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マルチュク青春通りのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

マルチュク青春通り(2004年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

不良学校に転校する高校生の話。

まずは舞台となる学校が、ま~荒れていてビックリ。
教師は体罰をするのが当たり前だし、生徒も粗野で粗暴な男ばかり。
通学バスで女子を物色する件なんか、ほとんどマッドマックスの世界観でしたからね。笑

ただ、どうして彼らがここまで荒れてしまったのか考えると、大人達の責任もあるのでしょう。
親も教師も暴力を使って子供達を支配しており、その姿を見た子供は大人達のやり方を真似ているだけなのかもしれません。
また、軍事政権下という時代設定から、学校にも軍人らしき男がいるのですが、この学校自体が韓国という国のメタファーであり、当時の人々が抱えていた抑圧や不条理が反映されているのかなと思いました。

物語的には、そんな不良学校に転校してきた主人公の初恋や友人との三角関係が描かれます。
ヒロインを演じるハン・ガインは可愛いし、主人公が彼女に惚れる瞬間や好意を伝えられない奥手な感じなども丁寧に描かれており、純愛映画としても楽しめるのではないでしょうか。

結局、主人公は恋人も友人も失ってしまうわけですけど、そうした悲しみや喪失感、そもそも学校に抱いていた憤りを全て含めて、最後に爆発させると。
彼の怒りと悲しみを発露させる媒介として、同じく怒りと悲しみを表現してきたブルース・リーが使われるのは最高だし、鏡に問い掛けるシーンは『タクシードライバー』のオマージュだったのかな?
まぁ、暴力を批判するのに暴力を行使するのは矛盾している気もするのですが、とはいえ、主人公の「全員ぶっ殺す!」と言わんばかりの大立ち回りにカタルシスを覚えるのも事実なわけで。
最後にわざわざ「“韓国”の学校、クソ食らえ!」と言わす辺りは、当時の韓国社会への批判が強く込められているのでしょう。

昔の映画だし、男臭い話だし、ちょっとハードルの高い作品ではあるのですが、個人的には我慢して見ただけの価値がありました。
劇中で引用されるブルース・リーや『タクシードライバー』がそうであった様に、本作もまた、見る者のモヤモヤを晴らし、エンパワーメントしてくれる作品かなと思います。
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