TAK44マグナム

皇家戦士のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

皇家戦士(1986年製作の映画)
3.3
かつてボンドガールも務めたミシェル・ヨー、あのブランドン・リーと戦った男であるマイケル・ウォン、そして我らが真田広之、またの名をデューク真田が偶然から協力し合い、殺人兵団(とは言っても四人しかいませんが)と呼ばれる凶悪犯罪集団と戦いを繰り広げる香港アクション!

物語のスタート地は東京!
ザ・80年代真っ盛りの歩行者天国でバンドやダンスチームを見学しながら観光を楽しむミシェル姐さんの姿から始まります。
能天気なBGMに、能天気なユルユル80年代・・・いきなりコレですから自分が一体どういう映画を観ているのか一瞬、分からなくなりそうです!
肩慣らしにヤクザを得意のカンフーで懲らしめたミシェルは、香港への帰途につきます。
帰りの飛行機では航空警察官のマイケル、そして有名な日本の刑事らしいヤマモト(真田広之)と知り合うのですが、その飛行機には殺人兵団の一人が護送中で乗り合わせていました。
仲間を逃がすために、もう一人の凶悪犯が機をハイジャック、実は香港警察の女刑事であったミシェルは、マイケルとヤマモトと共に、すかさずハイジャックを阻止するため行動開始!
どうにかこうにか殺人兵団の二人を地獄送りにして事件を無事解決します。
ヒーローとなった彼らでしたが、仲間の仇をとるべく殺人兵団が復讐戦を仕掛けてきたものだから、ヤマモトの妻子は爆殺され、無関係な一般市民が大量に殺され、更にはマイケルも犠牲になってしまいます。
警察署長からおとなくしているようにと命じられるミシェルたちでしたが、マイケルの遺体がはいった棺を盗まれ、それを取り返すために最後の対決に赴くのでした・・・!

とにかくミシェル・ヨーも真田広之も若い!
キレッキレの香港式格闘アクションをたんまりと魅せてくれますよ。
カーチェイスもかなり無茶やっていて、安そうな中古車は確実にクラッシュさせられています(苦笑)。

真田広之は出番もかなり多めなので、若かりし頃の彼を目的に観るぶんにも間違いのないチョイスだと言えるでしょう。
ただ、DVD版ですと真田広之と奥さん役の仁和令子の台詞は、中国語および日本語の部分どちらも吹き替え(しかも日本語が超下手)なので、本来の演技は残念ながら見られません。

あくまでも大真面目な映画には違いないのですが、かなりヘンテコなところもゴロゴロしておりますよ!
ヤマモトの妻子が殺されたりしているのに、ミシェルの気を引こうと花束を贈ったり食事に誘ったりと忙しいマイケルがジャージャー・ビンクス並みに空気が読めない奴でうざったいとか、犯人の使うサブマシンガンの装弾数がどう見ても多すぎるとか、犯人たちがメチャ仲間思いの良い奴らのように描かれている割に特にこれといって泣かせる演出もないとか、ヤマモトが「マッドマックス」に出てくるグースみたいになっちゃいそうなピンチに陥ったり、そうかと思うと「マッドマックス2」に出てきても違和感なさそうな、不格好な装甲車が出てきたりと、シリアスなのかギャグなのか良く分からなくなる、まるで闇鍋のようなごった煮感が味わえます。

お互いが怒りに燃えたミシェルと殺人兵団(もう一度繰り返しますが、オッサンがたった四人です)のガウ(攻撃空母ではない・・・とツッこんでしまうのはガンダム世代の哀しい性です)の一騎打ちは、チェーンソーを振り回す、まさかの「悪魔のいけにえ」オマージュが炸裂するスーパーバトルに発展!
田舎のオッサン然とした風貌のガウと比べて、黒のジャケットでキメたミシェル姐さんは強くて美しい!
もし、ミシェル姐さんの方が悪役だったとしても、全人類が間違いなく姐さんを応援すると断言できますよ!

そんでもって、最後はお約束の「大爆発の中を実際に俳優に演技させる」という虎の穴香港支部のクレイジーぶりが気持ちよく締めてくれます!

・・・そんなラストまで全部観ても、結局のところタイトルの「皇家戦士」の意味がサッパリ分からないんですけど、一体どこらへんが皇家だったのか、400字詰め原稿用紙二枚以内でタイトルつけた責任者に説明していただきたい!


セルDVDにて