りんとん

ギルバート・グレイプのりんとんのレビュー・感想・評価

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)
3.5
レオナルド・ディカプリオが演技しているということを50回くらい忘れた。
「アーニー」という知的障害者の男の子が、ジョニー・デップの映画に出ている。
そう思ってしまうほど自然すぎて、何度も「これ本当にレオナルド・ディカプリオだよな!?」と確認してしまうほど…。
表情、仕草、声、演技力なんてもんじゃないぞ…。

個人的な意見だけれど、『レナードの朝』のロバート・デ・ニーロと『レインマン』のダスティン・ホフマンを超えた…。
映画の評価自体は、そちらの2作の方が高いけれど、障害者の演技という点で…

過食症の母や知的障害者の弟の世話といった家族の負担を一人で背負い、自由に生きることを許されず、田舎の閉塞感の中で苦しむ青年ギルバートのお話。
長男という立場にのしかかる責任感、知的障害者の弟から目を離すこともできない。
これは、「俺の人生なんなんだろう…?」と苦悩してしまいますよ。
ママも、旦那を自殺で亡くしたショックから過食症になってしまうんだけれど…
「グレる」ことなんて絶対に出来ない、ギルバートのような立場の方には痛いほど感情移入してしまう映画だと思う。

夜になれば街灯がないので真っ暗で、沈む夕日と登る朝日が美しい、素敵な場所。
私が今生きている場所とは、全く違った時間が流れているんだろう。
家族がいて、家族のために生きるって羨ましいなと思っていたけれど、自由を感じることが出来ないのはとっても苦しい。
退屈で閉鎖的な田舎で暮らすのは若者にとって、息がつまる。
感情を爆発させてアーニーに当たってしまうのだが、その後罪悪感もまた切ない。

ママがすごいタイミングで亡くなってしまったことで、家族の形がまた少しずつ変わっていく。
ギルバートは現実から逃げずに、だけど自由になっていく…。僕らはどこへでもいける。どこへでも。
それは不自由から解放された彼にしかわからない気持ちだろう。

言い方は悪いがギルバートに同情してしまう。ママが家族のために強く生きることが出来なかったのも責めないで、優しく許してあげているし…幸せになってもらいたい。

話自体は淡々としていましたが、とにかくレオ様の演技がものすごいです。
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