幕のリア

大魔神の幕のリアのレビュー・感想・評価

大魔神(1966年製作の映画)
3.4
幼少の頃に夏休みや冬休みの夕方頃テレビで何度か見た記憶が。
惨たらしく情念と怨念に満ち、強烈に刷り込まれた作品だったはず。

新文芸坐の大映女優祭、フューチャリング高田美和でのスクリーン上映。
仕事のストレスがマグマのように溜まる毎日に楔を打つべく、おそらくスクリーンで観る機会も二度と無かろうとラスト一本回に参加。
ついでにお布施として願掛けとして、友の会にも入会してみた。

隣の推定80オーバーのお婆ちゃんが、紙パックの牛乳を最後の一滴まで逃すまいと、パックをペチャンコにして、歯磨き粉をひねり出すように一心不乱に祈りを捧げるが如くチュウチュウと吸い続けていたのだが、その眼はスクリーンを見つめることは無く瞑想するかのようにきっちり閉じられていた。

そう、魔神登場まではちっとも面白くないのだ!
お婆ちゃんは何度となく本作を見て、ここは見なくていい事を十分に知っているのだろう。
または、過ぎた時に思いを馳せていたのかもしれない。
いや、彼女こそ魔神の覚醒を促すシャーマンだったのかもしれない。

特撮映画の記念碑となるクライマックスには恣意的に盛り上がっておくしかなかった。
魔神の眼の演技には感服。
民衆の怒りとアニミズムの結晶を炎の如く浮かび上がらせていたのだった。

お婆ちゃん、フィルマやってたら是非イイネとフォローお願いします。

2018劇場鑑賞14本目
幕のリア

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