幕のリア

ダンサー・イン・ザ・ダーク 4Kデジタルリマスター版の幕のリアのレビュー・感想・評価

4.9
どうせ観るならスクリーンで、と今更ながら緊張の面持ちで初見。

オープニング。
様々な線や形や色が交差し刻々と姿を変える。
やがて輪郭が浮かび何らかの像を結ぶのかと思いきや、徐々に薄い点を残しながらも色を失っていく。
これご暗示するものは‥
ビョークの無垢な表情と覚束ない足取り。
まだ何も始まっていないというのに不安が首をもたげる。

好転なぞ期待出来ない中、募る不安。
あまりにも"あんまりな"話に気が沈み、近年自分の身に起こった思い出したくも無い事を反芻させられながらも、スクリーンから目が離せるわけもない。

劇中の悲劇は、突然の病や事故、人によってはもっと瑣末な事とそう大きく変わらないのかもしれない。
生きるための力や意志を繋ぐ。
それが出来たかどうか。
それを思って最後から二番目の歌を歌い続けるしかないのだなあ。

次観る時はまた違った景色が見えそう。

エンドロールだけは、とびっきりのイン・ザ・サンシャインであって欲しかった。
幕のリア

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