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ゾンビコップのRのネタバレレビュー・内容・結末

ゾンビコップ(1988年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

1988年のアメリカの作品。

監督は「パニッシャー」のマーク・ゴールドブラット。

あらすじ

ロジャー(トリート・ウィリアムズ「ドリー・パートンのクリスマス・オン・ザ ・スクエア」)とダグ(ジョー・ピスコポ「デモリション・デイ」)の刑事コンビは立て続けに起こる不可解な不死身の犯罪者による強盗事件を追っていた。その後、強盗犯の1人の死体からサルファ剤が発見され、その薬を大量購入したダンテ製薬を訪れた2人だったが、ロジャーが何者かによって会社にある減圧室で殺されてしまう。その後、そこで蘇生装置を発見したダグと検死官のレベッカ(クレア・カークコンネル)はロジャーを蘇生することに成功するが、ロジャーはゾンビとして復活しており、48時間後には身体が腐敗してしまうことがわかる。果たしてロジャーとダグは残された猶予の中で事件を解決することができるのか。

U-NEXTにて、配信終了間近だったことと、お話とタイトル的に面白そうだったので鑑賞。

結論から言えば、全然知らない作品だったけど、かなり当たりの作品でした。

お話はあらすじの通り、「刑事バディもの」に「ゾンビ」要素を掛け合わせたもの。もうのっけから不死身の強盗犯とのロジャーとダグの軽妙な掛け合いありの銃撃戦が楽しい!!

また、冷静でハンサムなロジャー、熱血刑事で好戦的なダグとどちらもキャラが立っていて良い!!

で、そっからその強盗犯の遺体から、ダンテ製薬という会社が怪しいと踏んだ2人が聞き込みにあたるんだけど、ただこの時点では俺自身、ろくにあらすじを読まずに本作を鑑賞したこともあって、ロジャーとダグどちらが「ゾンビ」になるのかわからない状況とあってなんかここだけでも、めっちゃスリリング。

で、結局、ダグが変なゾンビモンスターに襲われるので、彼がゾンビになるのかなぁと思って観ていたら、まぁ主人公だし考えれば当たり前だけどロジャーが死んじゃって、その後、蘇生装置によってゾンビコップとして復活!!

で、面白いのが80年代ということもあり、ゾンビの特殊メイク自体はまぁ今の精巧さに秀でている部分はないんだけど、その代わり、復活していきなりゾンビになるわけではなく、徐々にゾンビになる過程が割と丁寧。復活した直後は、多分顔に白粉かなんかを叩いているんだろう、顔がちょっと真っ白で、唇の色も血色がなくなっていて、そこから毛髪が抜け落ちたり、目の下のクマが濃くなっていく。

で、検死官レベッカのセリフから48時間後には身体がドロドロに溶けて死んでしまうこともわかったことで、「ゾンビもの」というよりか「余命もの」のテイストに近くなってくるのが興味深い。

で、そんな時間的な猶予も迫っていく中で2人は事件を追うことになるんだけど、途中、製薬会社の広報担当ランディ(リンゼイ・フロスト「ザ ・リング」)も混じって捜査の中でゾンビ強盗犯2人との格闘戦が入ったりすんだけど、特に聞き込みで訪れた中華料理店で敵の罠にハマり、室内に閉じ込められる中、蘇生装置によって豚の丸焼きや鳥捌いたやつがみんな意志を持ち始めて襲いかかってくるパートが、特殊効果をふんだんに使った怪奇ムード全開、往年のモンスターパニック!といった感じでとにかく楽しすぎる!!中でもでっかい七面鳥みたいなやつに襲われるところとか今までにあんまり見たことがないショットで絶妙に気持ち悪くて良かった。

ただ、中盤のゾンビとの戦闘シーンや冒頭の銃撃戦の感じもあって、基本コメディテイストで進行していくと思って見てたら、後半、ダグが水槽に逆さまに頭突っ込まれた状態で殺されたり、ヒロインポジだったランディが実はロジャーと同じゾンビで「ごめんなさい…。」とドロドロに融解して、最期は白骨化してしまう急なホラー描写に入るなど一気にハードみを増していくのがすごい。おまけに安全圏にいたはずのレベッカまで死んじゃうし、もうこの時点で味方陣営全員死亡だからね。

で、その後、完全にゾンビ化したロジャーはもう破れ被れだ!精神で単身白バイで会社に凸って、黒幕と対峙する。

まぁ、ここら辺は「余命もの」、終盤の死の匂いが色濃いこともあって、完全にテーマは「いずれ訪れる"死"」ということがこちら側も分かった上で観ているので黒幕の思惑と野望自体はなんとなーく察することができるんだけど、秀逸だったのはクライマックス。

なんと死んだはずのダグが完全に黒幕の命令に従うゾンビとなって、相棒であるはずのロジャーに襲いかかるんだけど、そこでのロジャーとのそれまでの会話の伏線から正気を取り戻し、逆に黒幕を追い詰める!!

で、一気にピンチに陥った黒幕は最後まで卑怯にも、こいつらにやられるなら!と自殺しちゃうんだけど、「そんな簡単には死なせねーよ!」と蘇生装置を2度起動してそいつを復活した上でレンチンしすぎた時みたいに一気にエネルギーを暴発させて殺しちゃう爽快感!!

そして、もう1人の黒幕から「永遠の命を得られるぞ!」と必死に言葉をかけるのにも従わず、最後は蘇生装置を完全に破壊して、「次、生まれ変わるなら女性用自転車のサドルに生まれ変わりたい!」とバカ話を2人でしながら光の向こうに消えていくロジャーとダグ…かっこよすぎんだろ…。

永遠の命に醜く縋って生きながらえるなら、人間として残された命を全うしたい…そんな2人の男の生き様が感じられるジャンル映画を超えた意外なハードボイルドな結末もあって、個人的には掘り出し物的な一作でした。オススメです🧟!!
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