オレンジマン

レイジング・ブルのオレンジマンのレビュー・感想・評価

レイジング・ブル(1980年製作の映画)
3.9
まずOPなんだそれ。
かっこいいにもほどがある.....
タクシードライバーといいレイジングブルといい、スコセッシはOPがかっこよすぎる。

次にボクシング・シーンだが、これもすごい。各選手に近いアングルせ受けるパンチは僕らの脳にまで響く。めまいを受けたようなフラッシュもこれに合わさって、まるでボクサーかのような気分(言い過ぎかも)と同時に、それをあくまでも客観視する観客としての視座を同時に味合わせる巧みなカメラワークには脱帽。

ストーリーも極めて明快でありながら、深みもあり、様々な意味での癖もあって良いのだが、若干疑問も残る。
至る所でこの映画のテーマにして、主人公が全てを失う原因として扱われる病的な猜疑心だが、僕にはそれほど猜疑心の影響が強いようには思えない。猜疑心より前にボクサーとしての時間のなさやセックスレス、暴力性を帯びたダル絡み(八つ当たり)があって、それと同じような水準で猜疑心があるのではと思ってしまうので、幾度となく繰り返される猜疑心アピールは、主人公の人生を1面でしか描けていないのかなと感じた。
加えて、ビッキーも明らかに浮気性がありそうな描かれ方をしているし、弟も本音を言わないようなキャラクターとして描かれているので疑うのはもっともだとすら思える。しかしもし、その無念さが最後の「そんなに悪くない」に集約して描かれていると考えるなら、やはりここも素晴らしいとしか言いようがない。
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