オレンジマン

河内山宗俊のオレンジマンのレビュー・感想・評価

河内山宗俊(1936年製作の映画)
4.2
ハンパじゃない.....
ストーリー(構成)、人物像、笑い、構図、どれをとっても素晴らしいとしか言いようがない。

色々な群像劇というか、最初バラバラだった人々が集まって行く映画が存在するが、これはその中でもおそらく1,2を争うのではないだろうか。
前半は、本当に笑い溢れるコメディタッチで描かれていて、伏線(というのが正しいのかもわからないが)にわざとらしさはまったく感じないし、とにかくリズミカルで最高に面白い。
その中から、そっと顔をのぞかせる河内山宗俊の妻の猜疑心などのサスペンスが、ハラハラもさせる。笑いながらハラハラするという(しかもそれがあからさまに鼻につく感じではない!)最高の体験をこの作品は提供する。

そして、物語は、原節子渾身の"緊張感を伴う静止"の演技によって猛スピードで進み出す。
群像劇的なシマの多さを利用した華麗なパス回しに、僕らの胸は一層高まり、いよいよチャンバラへと突入する。
このチャンバラシーンも本当にすごい。狭い通路を利用した構図作りはもう言い得ぬ素晴らしさしかないし、最後に用いられる横移動のカメラワークはもうどうしようもない。そこで手にピント合わせるのか!!みたいなカットも合わさって、最後の最後まで興奮はまったくおさまらない。

山内貞雄監督の作品は初めて観たのだが、トーキーで残っている2作品も早急に観たい。
とにかく素晴らしかった。
オレンジマン

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