生きる希望を失った青年が気まぐれに少女に語ったおとぎ話。話の途中で少女の横槍が入ったりトイレに行きたくなったりと最初は、おかしなおとぎ話にそれこそ作中の少女のようにケラケラと笑わされていたのに、いつの間にか泣いていた。ターセム監督の作る独特な雰囲気に引き込まれ、役者の演技に感動しました。また一つ大好きな作品が増えて嬉しい。
青年の語るお話が作中では実際の映像として作られていて、それがまた別の作品のような感じで見るようになるけど、現実世界も何もない作り話だから先が読めない。不思議な演出も相まって、リアリティとか人間ドラマを求めてる人には楽しめない部分もあるかもしれない。でも最後まで見るとガラリと印象が変わると思います。お話って、創作するといっても語り手の経験が勝手に反映されるもので、そこを考えると… 本当に素晴らしい作りです。
ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』もお話の作品でしたっけ。あれは明るい白とか黄色のイメージだけど、今作は茶色とか青とかの重い雰囲気を感じました。
一番心動かされたのは何と言っても役者の演技でしたが。贔屓含め眉毛王子リー・ペイスは素晴らしい。でも優勝はカティンカ少女。天才だ。泣かされた…
お話の登場人物の死を嘆く少女の涙は、青年に直接願うより真っ直ぐ届く言葉でした。
