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落下の王国のluのレビュー・感想・評価

落下の王国(2006年製作の映画)
5.0
本格的に洋画にハマるきっかけになった作品。

どのシーンでも美しい景色に負けず劣らずキャストが映えていて、序盤から配役の良さにときめいた。
中盤のロイのセリフ、”are you trying to save my soul? ”が妙に頭から離れず、映画が終わるまでずっと反芻しながら観ていた。
このシーンがお気に入りで何度も何度も見直した。ここのカティンカ・アンタルーちゃんの演技の自然さに一気に心を掴まれて、ロイが彼女を恵みと感じ、身勝手にも救いを求めてしまうのも頷けた。
あの素朴さと柔らかな笑顔は、病んだ人の心を優しく撫でもするし、無邪気に摘まれもする。

後半は何度観ても心が震わせられ、いつも号泣してしまう。ロイとアレクサンドリアの、それぞれの切実な思いがここで初めて合致する。穏やかな空気の中で流れる感情の揺らめきに、観てるこちらの心も揺さぶられた。
ファンタジックな作り話の裏で、救いを求める声を聞き逃さなかったアレクサンドリアの切実な訴えを聞く度に、どちらにも感情移入をしてしまって胸が締め付けられるようだった。

ロイとアレクサンドリアがつくり出す世界は突拍子もなく、無垢で、残酷で、美しい。
アレクサンドリアの純粋で無垢な心に縋るロイ。ロイの中にある恐怖や弱さを無邪気に掻き乱すアレクサンドリア。寂しげな愛情表現にこちらの胸もくすぐられ、虜にさせられた。

「落ちる」、タイトルにもなってるこのキーワードが全編で大事な役を担っていて、妙に惹かれる。落ちていくことで道を見つけ出して、這いながらも進んでいく物語。人々が“落ちる”ことを覚悟した姿はかくも美しいと感じさせられました。

感動モノを観て泣きたい、作品もしっかり味わいたい!という方におすすめ。きっと心に残る。
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