佐藤克巳

桃中軒雲右衛門の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

桃中軒雲右衛門(1936年製作の映画)
4.0
女を描いて定評のある成瀬巳喜男監督が、何故に芸道物に走ったか興味が尽きない。芸に生きる人間に普通の人格者たれを徹底的に拒絶し、共に苦労し九州からのし上がった愛妻細川ちか子にも芸人としての最期を求め、それを実行した妻を讃美する浪曲師桃中軒雲右衛門を、月形龍之介一世一代の名演が披露された。だがどうしても、岡千秋、都はるみ「浪花恋しぐれ」の「芸のためなら女房も泣かす…」が頭に霞んで苦笑してしまった。全く成瀬らしさを感じなくて、芸道物の先駆的価値のみ評価する。
佐藤克巳

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