おいそれとは観れない気がして、覚悟を決めて観た。アンジェイワイダ80歳にしての作品。この歳になってこの映画を撮ることの意味、この歳にならなければ撮ることができなかったと言うべきか。並大抵ではない怒りと悔しさと共に、これを撮らずには死ねなかったであろう監督の執念。ワイダの父親は実際この事件の犠牲者なのだ。ワイダは昨年90歳で亡くなった。
あらためてポーランドの歴史を思う。ソ連とドイツとの狭間で苦しみ続けた小さい国、ソ連がこの事件を認めたのが1990年代、ゴルバチョフ体制になってからという、つい最近のことではないか。そして苦しみはなお続いている。
登場するポーランドの人々、毅然とし誇りに満ちている。クラクフ大学で捕らわれた人達、カティンの森で亡くなった人達、せっかく生き残ったのに命を落としてしまった人達、留守を守った人達も。クラクフ、行ってみたい街だったけど、これほどまでに悲しみに満ちた町だったとは。
戦争は終わっていない。日本の戦争も終わっていないのでは!若い人達にも観てほしい映画。