No.1541
2023.11.29視聴
オゾン-9(2003作品)5/31
エロチック・サスペンスと言えるだろう。オゾン監督の他の作品に比べるとエロスの部分も、サスペンスの部分も、ともに強め。それだけに今までの中で一番面白いかも知れない。
どこまでが現実で、どこまで想像か観ている時にはなかなか分かりづらいが、観終わってよくよく考えるとなるほどと思うだろう。それも面白いし、どんでん返しが効いたと言えるだろう。
私のタグ「珠玉のサスペンス・スリラー」に入れたい作品だ。
イギリスの女性推理作家サラ(シャーロット・ランブリング)は、今の自分の作品の出版社の社長「ジョン」に漠然と不満を持っている。それを察したジョンは自分が所有するフランスにあるプール付き別荘で、気分を変えた新作の執筆を勧める。サラは行ってみることにした。
南フランス山中リュベロンにある別荘は申し分のないものだった。
ゆったりとした気分で執筆活動を始めたが、突然ジョンの娘と名乗る「ジュリー」がやって来る。
ジュリーは清掃していないプールを全裸で泳ぎ、静寂を乱されたサラと衝突する。
しかし、一方でジュリーの若々しい肉体に惹かれる自分がいることに気づいていく。
主演のシャーロット・ランブリングは「まぼろし」に続いて出演。彼女の知的でどこかバランスを失っているような中年女性にはピッタリのキャスティングだ。特に目がいい。
少し笑ったような感じの視線には奥の方に狂気が見えて、オゾン監督作品にはすごくあっている。
彼女はイギリス出身の女優、巨匠ヴィスコンティの「地獄に落ちた勇者ども」(69)で注目を集める。その後リリアーナ・カヴァーニ「愛の嵐」で世界中に衝撃を与える。ナチの帽子にヌードの写真はよくご存知のはず。ところがこの映画、いつでも観れると思って今まで観ていなかったが、観ようとしたら、今はレンタルも配信もなくどうしても観れない状態なのだ。
私はランブリングを見ると、どうしてもイザベル・ユベールと比較してしまう。ともに愛欲に飢えた中年女性の一種の狂気を演じさせたら、1、2を争う女優ではないないだろうか。ランブリングの方が知的で、ユベールの狂気が強烈でストレートのような感じはするが。