ムック829

八日目の蝉のムック829のレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
4.2
生後わずかにして誘拐された娘と誘拐犯の女。
疑似親子となった二人の4年間の生活を現在21歳になった娘が振り返り思い出していく。

見終わって一晩経って朝起きて、ウトウトしながらも二人の別れのシーンを思い出して目が覚めた。
娘との別れのシーン、永作博美の一連の演技が本当に素晴らしくて。
最後まで娘のことを思う台詞が、そのシーンが強烈に脳裏に焼き付いていたということか。

誘拐はどんな理由があろうとも許されることではない。された方はたまったもんじゃない。
でもなんでしょうね、その娘に注いだ愛情が本物なのが分かりすぎるから辛い。
洋画の「ブリグズビー・ベア」を思い出しましたね。子供には全く罪はないから可哀想だけど。

とにかく永作博美が素晴らしい。「朝が来る」では合法で、逆の立場で親を演じていたけど。
悲しい泣き笑いとでも言うべきか、その迫真の演技に心を震わされた。ベビーフェイスなのに母親役が似合う女優だ。
そしてそんな疑似母親を思い出して、娘が下した決断の台詞がとっても沁みた。

誘拐された側の悲哀が強調されていないのでどうしても片側に感情移入してしまうけれど。
血の繋がりより大切なものもあるんだと思わされる、誘拐はダメだけどグッとくる話でした。
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