カザミ

プリンセスと魔法のキスのカザミのネタバレレビュー・内容・結末

プリンセスと魔法のキス(2009年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃよかった。大号泣して頭痛くなった。観たことがなかったけれども観られてよかった。
手描きセル画のディズニーアニメーションの最高峰みたいな大傑作。画面がとにかく美しい。
この間見たノートルダムもあまりに背景が綺麗で震えたけれどプリンセスと魔法のキスはあまりに凄すぎた。
どんなシーンをとってもすっごい、まじでこれ手描きなの……? といいたくなるくらいに画面が美しいしキャラクターは生き生きとぬるぬる動く。すごすぎる。

ヒロインのティアナがすごくいい。真面目で夢に向かって頑張る子。頑張りすぎるきらいはあるけれども、カエルになってもすごくチャーミングで、ナヴィーンが彼女のことを好きになってしまうのもわかる。
親友のシャーロットもめちゃくちゃいい。憧れの王子様が目の前にいるのに友人に着替えを貸すために離席したり、終盤でためらいなくカエルにキスしたり、素直に二人を祝福してくれたり。でも離席してちゃっかりお化粧直ししてたり、弟に何年でも待つわ! と言ったりのしたたかさもあってすごくよかった。
ナヴィーンもよかった。どうしようもない男で、でも憎めなくて明るくてカエルになっても虫食おうって思えるポジティブさがあるのわりと好きだったし、ティアナと冒険して何もできない自分を見つめ直してちょっとずつ成長していくのがよかった。終盤の、「ティアナは僕のエヴァンジェリーンだから」のシーンはめちゃくちゃ泣いた。ティアナの夢のために我慢や諦めることを学んだ彼の成長が感じられてすっごく泣いた。いい台詞だった。

味方側のキャラクターみんなが友情にあつくてすごくよかった。ワニのルイスも人間とジャズがやりたいって夢が叶った大舞台でそれを放り出して友達のために飛び出していったり、何よりレイが物凄くよかったというか終盤のレイのシーンからラストまでずっと号泣だった。
まさかまさかディズニーで仲間のキャラクターがこんな風に散るとは思ってもみなかった。
プリキス、みんな色んな夢を持ってて夢を追いかけてる象徴に願いをかける星であるエヴァンジェリンがあると思うんだけれども、レイだけはどうやったって夢が叶うことはないのよね。非現実的すぎて。星に願いをかけても、星には手が届かない。でもレイは友達のためにできることを精一杯して、命をかけて戦って、最後には散ったけれどもそれは善き行いであり愛であるから「ほんとうの幸い」にたどり着けてエヴァンジェリンと結ばれたって考えるとレイにもハッピーエンドなのかなあ。きっと。命をかけて愛のもとへとたどり着いた虫……。友達のために命を燃やした蛍……。
このレイとエヴァンジェリンの精神は宮沢賢治とちょっと似てる気がするなあと個人的には思った。まさかディズニーに宮沢賢治みを感じるとは思わなかった。

悪役のファシリエもよいキャラだったしあのひとのシーンどれもすっごくよかった。影たちの妖しくてきれいな動きも最高。森に沼に町に人の足元に溶け込む影の魔物たち、すごくよかった。
同じ貧乏で苦労してきてお金持ちになりたいって思っていただろうに、愛を知っていたティアナと知らなかったファシリエで末路が違うのいい。
序盤の誑かしのシーンと歌も映像もすごく良かったし散り際も音楽も映像も最高だった。ディズニーヴィランの末路で一番好きかもしれん。

とにかくティアナたちはハッピーエンドで、ラストのキスシーンはじめとして画面がものすごく、ものすごく美しいセル画ディズニーアニメの傑作だった。ものすごく泣いたし笑ったし、見てよかった。面白かった。
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