イルーナ

プリンセスと魔法のキスのイルーナのレビュー・感想・評価

プリンセスと魔法のキス(2009年製作の映画)
4.3
金曜ロードショーでのディズニー特集は比較的マニアックなものが選ばれましたが、これはその中で最たるものではないでしょうか。
CG移行期なのに手書き回帰した点が今一つ知名度が低い理由かも?今ではむしろそこが評価されてるポイントになってますが。
実際、最後の手書き作品だけにまさにその粋を集めた作品となっております。
カエルなのにその線使いから妙な艶めかしさを感じるティアナ。
最初は胡散臭かったのが、交流を重ねるにつれてだんだんと表情が優しく柔らかくなっていくナヴィーン王子。
(プー太郎な王子に対し説教するんじゃなくて、お互いの良さを認めて歩み寄るのがいい!)
怪しくも魅惑的なブードゥーの魔術師ファシリエとママ・オーディの圧巻のショータイム。
(Greenはスラングでお札を意味するけど、それがカエルの体色だったという言葉の綾!それと、ファシリエのモデルになったサメディ男爵は比較的新しい神格なのか、とても死神とは思えない設定が盛りだくさんで驚かされます)
そして、色鮮やかな自然にマルディグラの祭り。
まるでハード末期に、そのハードのスペックをフル活用して生み出された隠れた名作ゲーム的な趣があります。

物語の舞台も、いつものプリンセスものと違い、たかだか100年くらい前のニューオーリンズでかなり現代的。
舞台が舞台だけに、プリンセスものでジャズやゴスペルといった黒人音楽がメインテーマになっているのはなかなか新鮮でした。
ワニのルイスはトランペット演奏してる絵面が面白い。お前一体どこでそれを学んだんだ……?
黒人と白人の格差をサラッと描きつつも、白人の友人シャーロットはウザキャラと見せかけて、仕事に対してしっかり報酬を払うし、お似合いのドレスを貸してあげるしで、本当に友達思いのいい子でした。
本当にこの当時のバランス感覚は優れていたんだよなぁディズニー……

しかし、ホタルのレイがああいう役柄だったとは!
何だこのブサイクな虫→オイィィマジかよ!?→そうか……こうなることで永遠に想い人(一番星=金星、つまり愛の女神)と結ばれたのか……
どうせマスコット枠だろうと思っていたらまさかの伏兵で驚きました。先週の『ノートルダムの鐘』と違ってずいぶん軽いノリの作風だなぁと思っていたから尚更。

そう言えば、本作は星に願いをかけるシーンがやたら強調されてました。
人気投票で選ばれたのも納得の作品ですが、最新作『ウィッシュ』とテーマが近いから選ばれた部分もあるのかも……?
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