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ウィンターズ・ボーンのkojikojiのレビュー・感想・評価

ウィンターズ・ボーン(2010年製作の映画)
4.0
No.1569
2023.12.19視聴 ジェニファー・ローレンス(2010年 3作目)(20歳)

 さあ、やっと紹介することができます。ジェニファー・ローレンスの隠れた名作。しかも初主演作品。
私の絶対的推薦の作品。
このジェニファーを見ずして、ジェニファーは語れない。ジェニファーファンには是非観て欲しい。と言っても、目立つのはジェニファーではないのですが。😅
 
 ちょっと前だが、「ウインド・リバー」というサスペンス映画を観て、アメリカ原住民の今を知り、正直驚いたことを思い出した。前世紀から世界に君臨し、繁栄の一途を辿るアメリカの恥部を見せられた思いだった。いかに巨大なアメリカを知らないか改めて思い知らされた。
 
 ところがひょんなことから、再びこのアメリカの隠された真実を知ることになった。

 オザーク山脈の村に住む17歳の少女リー(ジェニファー)は、心を病んだ母親に代わり幼い弟と妹の世話をして暮らしていた。
 しかしある日、逮捕された父親が自宅と土地を保釈金の担保にして失踪。
 このまま裁判に出廷しなければ家を没収されてしまう。やむを得ずリーは自ら父親捜しに乗り出すのだが……。

 この映画、ジェニファー・ローレンス目的で見たのだが、映画のテーマに驚いてしまって、ジェニファーどころではなくなった。
 もちろん、20歳のジェニファーの堂々たる演技には脱帽。もうすでに大女優の風格がある。

 私の全く知らない世界がそこにあった。
この映画の舞台オザーク及びアパラチアに住む人々は「ヒルビリー」と呼ばれ、19世紀に人里離れた山腹に定住したスコットランド、アイルランド系の子孫なのだ。彼等はアメリカ大陸へイギリス本土国民に遅れて移民となったため、彼らに残された土地はこの山間部しかなかったのだ。そこに住み着いた彼等の生活がいかに過酷で貧しい者であったか、この映画を観れば、容易に推測できる。
 
 今ではヒルビリーという言葉は田舎者の蔑称として広く使われているらしい。確かにこの映画を観ればそれを感じる。文明に取り残された世界。ここから抜け出すのは並大抵のことではない。手取り早い方法は主人公リーが目指している軍人なのだ。おそらく前線へ送られ、相当数の仲間が死んでいったに違いない。
 失踪した父を探すサスペンス映画を通して、この過酷で、異様な社会を描く。

 エンディングはどこか懐かしいようなこんな曲が流れる。

🎵誘惑や試練の中で
私達は生きていく
なぜこうなのかと
一日中悩みながら
私達の隣には
幸せな人々がいて
何の苦しみもなく
暮らしているのに
ずっと歩んでいけば
分かってくるだろう
ずっと歩んでいけば
なぜだか分かるだろう
妹よ 元気を出して
光の中で生きよう
全てわかる時が
やがてくるだろう🎵
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