ジョン

ブラックブックのジョンのレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
4.3
第二次世界大戦下で逞しく生きた一人の女性の物語で、愛する場所・愛する人たちを失い、屈辱を受けながらも懸命に生きる主人公の姿に感動した。そして二転三転どころか五転六転するストーリーに頭くらくら。

この映画は、ありきたりな方法で戦争を描いていない所がすごい。敵味方それぞれの人間を単純な善悪に当てはめない。非道なナチにも心優しき人がいるし、レジスタンスにも私利私欲に走る人がいるし、迫害を受けていた市民の中にも人を虐げることを喜ぶ人がいる。勿論ナチが悪という前提はあるけれど、そこで思考を止めず、悪とは何かを突き詰めるような作品の造りに感心した。戦争が人を狂わせるのか、人が狂っているから戦争が起きるのか。最後まで考えさせられた。

監督がヴァーホーヴェンということで、エグい描写に遠慮がないのも良かった。陰毛を染色するシーン、便所のシーン、糞尿を被るあのシーン等々、衝撃的な場面が多く、しかしそれ故に戦争の悲惨さ野蛮さが脳裏にこびりついた。
ジョン

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