Rui

ブラックブックのRuiのレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
4.5
ナチスに家族を殺されたユダヤ人女性がナチス将校のムンツェ大尉の愛人になり、内部に潜り込むというスパイサスペンス系。
程なくしてムンツェに気付かれるが、過度な流血を避け穏やかな対話を望む彼は彼女を庇う。激動の時代に翻弄される人々の姿を多角的に捉え、一女性の視点から描く。エロ・グロをぶち込んできて(エロが強め)銃撃シーンはあまりなくて(主人公が女性だということもある)普通に面白かった。監督の変態な趣味は感じたが。スピード感が良かったのかエンタメ要素が強いおかげか退屈だと感じる時がなかった。主人公の行動力もなかなかのものだったがかといってやり過ぎ感もなくて、でもやっぱりスカッとさせてくれて気分爽快、納得できる絶妙なラインを突いてくれた。戦争映画にしては珍しく重厚な余韻というものはあまりないが、考察云々ではなく観ている時に一番楽しめる感じかな。2006年製作だけど結構綺麗な映像だし。人間の嘘や保身に走る様子が敵味方関係なく入り乱れており、人は時として簡単に信用して裏切られることを痛感した。ゲスい感情でまみれていたが(フランケン中尉はクソ、ムンツェは良識)、これといって不快な気分になることがなく、気分良いまま鑑賞できた。
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