社会のダストダス

バットマン リターンズの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

バットマン リターンズ(1992年製作の映画)
4.1
「バットマン」(1989)の続編。ティム・バートンが監督をマイケル・キートンがブルース・ウェイン/バットマン役を続投。実写バットマンで個人的に一番好きなヴィラン、ペンギンの登場作品。

クリスマスシーズンのゴッサムシティ、怪人ペンギン(ダニー・デヴィード)が街を騒がせていた。奇形児の為、親に捨てられた過去を持つペンギンは、自作自演で市長の息子を救ったことを契機に街の人気者になっていく。ペンギンは街の名士シュレックと組み市長にも成り上がろうと画策する。ペンギンの企みを疑うバットマンは、羽人間の意地をかけて彼と対峙していく。

前作以上にダークな世界観で、ペンギンとキャットウーマンの二人がほぼストーリーの主役。ペンギンの切ない生い立ちやキャットウーマンの変な覚醒シーンなど、ヴィラン側の描写に重きが置かれていて前半はバットマンがかなり空気、ただの暇そうなおっさん。

賛否あるのかもしれないけどキートン版バットマンは、ベン・アフレックやクリスチャン・ベールと比べると「この人何でヒーローやってるんだろう」と感じる場面が多いのが魅力だったりすると思う。
バットマンは大した根拠もなくペンギンを疑いストーキングする。キャットウーマン(ミシェル・ファイファー)の色仕掛けにはまんざらでもない様子。ブルース・ウェインとしての私生活は、屋敷で執事のアルフレッドと二人きりの寂しい独身生活なので、完全に趣味か暇だからヒーロー活動やってる人にしか見えない。

ペンギンが好きになれるかどうかで、この作品の評価は大きく傾きそう。ハゲで肥えて口から緑色の謎の体液を垂れ流している汚いおっさん。自分をセックスシンボルだと思っており、女性を見ると「水かきテクでイかせたい」などセクハラ発言も辞さない。ペンギンの原動力は親から捨てられ、長年地下で生活してきたことからくる承認欲求で、根っからの悪人だったわけじゃない。
市民に悪事が露見し、部下にも見放され、バットマンにも敗れ事切れた彼を動物園のペンギンたちが看取るシーンが物悲しく切ない(絵面は面白いが)

今作もバットモービルは謎の機能満載で楽しい。ペンギンの部下たちに簡単にジャックされてしまったので、セキュリティにはかなり問題がある。ペンギンが「俺の免許は切れている!」と言いながら超楽しそうに、乗っ取ったバットモービルを遠隔操作するシーンが一番好き。