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2001年宇宙の旅 新世紀特別版のHIROのレビュー・感想・評価

4.2
人類と宇宙の壮大なお話。

とんでもない作品でしたな∑(゚Д゚)

まず言えることはこれが1968年の作品だとはとてもじゃないけど信じられないということ。
数年前の映画と言われても普通に信じてしまいそうな圧倒的な映像美と壮大な内容。
目の前で繰り広げられていることの全てを理解するのは到底無理なのではないかと思いましたね。
白を基調とした宇宙船の中に独特な形をした赤い椅子が無造作に置かれていたり。
芸術的なキューブリックの感性が爆発していて素晴らしいんじゃないですかね。

冒頭の真っ暗な映像から一気に不安にさせられて、その後唐突に類人猿の生活風景を見せられる。
何がどうなってるのか分からないような作りになっていて、ますます不安になってゆくんですよね。

恐ろしいほどにテンポが遅くて説明は一切なく、開始30分後にしてやっとセリフが出てくる。しかもそのセリフもよく分からないから本当にパニックですよ。
面白いけど退屈、退屈だけど面白いみたいな、そういう不思議な感覚に陥りましたね。
内容なんかもはやないんじゃないかと思ってしまうんですが、実はとても知的な作品なんですよね。
人類の進化や高度な機械の存在、宇宙の姿などを描いていて、その世界観にはとにかく圧倒されました。
だいたいこれがアポロ計画以前の作品だと思うと、キューブリックの頭の中はどうなっているんだろうと考えてしまうわけですよ。

ただの動物だった類人猿が道具を使うことを覚え、さらなる進化を遂げていく。
類人猿が投げた骨が最新の宇宙船に変わるモンタージュはワクワクさせられました。

宇宙船の乗組員の一員である史上最高の人工知能HAL(ハル)9000型コンピュータ。
完全に人間に取って代わるであろうコンピューターで、現在の世の中に溢れているコンピューターを予言しているかのようでした。
無機質なようで実はハルは人間味に溢れていて、可愛く見えてくるんですよね。
ハルが行おうとしたことは恐ろしいことではあるけど、それは人間の建前への矛盾を感じたことが原因であるわけだし、ハルはある意味純粋な人間らしいのかもしれない。

壮大な音楽や不気味な音楽で彩られる宇宙空間は今にも飲み込まれそうなほどの壮大さで、乗組員の息遣いまでもがリアルに伝わってきて息苦しいことこの上ない映像でしたね。

ラストへの展開は本当に難解でした。
かなりぶっ飛んでいて、これを理解するのは不可能ですね。様々な解釈をするのが楽しいんじゃないでしょうか。

最初から最後まで引き込まれながらもあまりの難解さと静けさに睡魔が襲って来る可能性はかなり高いかもしれないけど、素晴らしい作品であることは間違いないです。
この作品が後のSF映画に影響を与えたことは明らかで、シーンによってはあの映画で使われているなと思ってしまうほど。
全く古臭さを感じるどころか斬新でいつまでも最先端を行っているかのように感じてしまう作品でした。



2015-65
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