takanoひねもすのたり

ピアニストのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
3.7
10年程前に観た時は、エリカが気の毒でヴァルターに好感持てず、ただ後味が悪いし2度は観ることはないと思ってた。
年を喰って気が向いて再見したら寧ろヴァルターが気の毒になった。
時の流れは恐ろしい…笑

エリカは恋情がどういう感情か、恋愛関係にある相手への優しさや愛しさの感情面と情感的なセックスの知識が抜け落ちていて、即物的な欲求不満の解消法しか知らない。性衝動はあっただろうがそこに生身の人が介在したことは今まで無かったはず。

お互い尊重し、愛し合いたいという真摯な告白に、貴方は「道具」でいいのよって言われたようなものなヴァルター。
彼の恋情をコテンパンに砕いてしまった…ホントに彼が気の毒でたまらん(´;ω;`)

エリカが母親に夜這いカマす場面で「愛してる」にはいくつか種類があり、相手により違うことが分からないのかも知れないとも思った。
ベットの下にSMグッズ用意しておくとか、男子中学生のエロ本レベルじゃないか…(涙)

極端に抑圧され孤独を拗らせた女性が、真っ直ぐな恋情をアプローチされた時にあんな反応を出すズレ感は普通の恋愛が出来ないほど病んでいるのに気が付かない。
鋏を向けたのは自分の胸で、怒りの矛先も自分。どこまでも自己中心的なエリカは変わらないままだろうと思うと救われない。

とにかく今回は観てて居たたまれなくなることが多く、10年前との受け止めかたの違いもあった(主にヴァルターの怒りについて。もうこれはブチ切れられても仕方ないレベルだと理解した)

「愛に傷ついても死ぬことはない」とはヴァルターの科白だが、監督が「愛・アムール(2012)」を撮っていることを思うと、後年人の心が出来てきたのかな(作品に)と思った。
この作品はまた10年後にでも…どっと疲れた…_(:3」 ∠)_