英語がわからない日本人の私から見ても、
ドイツ人が英語をしゃべってるのにはかなりの違和感があるのだけど、
これに関して向こうの人たちは平気なのでしょうかね?
それはそうと、しゃべっている言語を除けば、
多くの演出が含まれていることを考慮に入れても、
かなりリアルに時代を切り取っている雰囲気が感じられます。
戦時であることを利用して金を儲けることに余念がないシンドラーが、
ナチスの高官を金で丸め込み、労働単価の低いユダヤ人を雇い、
事業を拡大し、軌道に乗せていく様を主軸として追いつつ、
その合間合間に、ナチスによるユダヤ人に対する仕打ちが、
エスカレートしていく様を垣間見せていくという構成で、
迫害だけに殊更フォーカスすることなく、
日常の中に溶け込んでしまった異常性を見せていく手法です。
3時間を超える大作であり、
あまり多くを説明せずに、映像に語らせている部分が多いことから、
初見では、なかなか根気が続かず、数十分見ては止めるの繰り返しでした。
最後まで見終わった後の感想としては、途中衝撃的なシーンは多くあるものの、
終盤シンドラーがうな垂れるところは、とってつけたようだなと感じてしまい、
心が大きく動かされるという感じではありませんでした。
私に知識がないことが大きく関係していますが、
ウルトラC的な救出劇のような、劇的な展開による驚きを期待していたところが
少しあったのかも知れません。
ですが、なんとなく気にかかるところがあって、もう一度最初から見直してみると、
話の大筋が頭の中に入っていて、かつ、展開に対する変な期待が無くなったこともあり、
密度の高い映像に込められた情報を、筋を追って整理して理解できるようになり、
途中休まずに一気に見ることができ、作者の意図が鮮明に感じとれた気がしました。
物語の起伏によって感情が大きく揺り動かされるという類の作品ではなく、
異常なことが常態化していく様をじっくりと見て、恐怖するような作品なのだと感じました。
そういう種類の作品として評価する必要があるのだなと。
蛇足:
シンドラー役は色気があってカッコいいですね。
悪役将校ゲート役も美形の部類なんだろうけど、どこか抜けてる感じがあって、
あまりカッコよく見えないところが非常にいいと思います。
特に、たるんだ腹は名演技でした。