サウナ中級者

シンドラーのリストのサウナ中級者のネタバレレビュー・内容・結末

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

この作品にスコアをつけるなんて、あまりにも傲慢だと感じる。映画としての完成度を語る以前に、これは人類の歴史に刻まれた悲劇を映し出した作品であり、単なるエンターテインメントではないからだ。

私はこれまで「戦争なんてなくなるはずがない」と、どこか冷めた視点で考えていた。しかし、本作を観て、自分がいかに現実を直視できていないかを痛感した。平和な環境に慣れ、戦争の恐怖を実感せずに生きていることが、どれほどの幸運なのか。私は平和ボケした愚か者だった。

モノクロの映像が、この物語に圧倒的なリアリティを与えている。シンドラーは当初、ユダヤ人を安価な労働力として利用することしか考えていなかったが、障害を持つ老人の射殺などを目の当たりにするうちに、次第に考えを改めていく。この変化が、映画全体の大きな軸となっていたように思う。

ホロコーストの恐ろしさは、直接的な暴力描写だけではなく、じわじわとにじみ出るように描かれていた。ゲットー解体のシーンでは、ただ逃げ惑う人々の姿を目の当たりにし、人間の持つ残虐性が極限に達するとどうなるのかを見せつけられた。

戦争は、常に人間の最悪の部分を引き出す。普段なら善良な人間であったかもしれない者たちが、残虐な行為に手を染めていく。その一方で、シンドラーのように、非道な時代の中でも正しい選択をしようとする者もいる。彼が命の危険を顧みずにユダヤ人を救おうとする姿には、言葉にならないほどの感動を覚えた。

そして、何よりも心に残ったのは、赤いコートの少女のシーンだった。モノクロの世界の中で唯一、鮮やかな色がつけられた彼女が、荷車で運ばれていく姿に涙が止まらなかった。このワンシーンが、戦争の無情さと罪の重さを象徴しているように思えた。

『シンドラーのリスト』は、ただ「観る」映画ではなく、歴史と向き合い、心に刻みつけるべき作品だと感じた。観終わった今、この映画を観る前と同じ自分には戻れない。
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