さくら

シンドラーのリストのさくらのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.5
見ている間よりも、鑑賞後時間が経てば経つほどに、胸が鈍く痛む。
情報を必死に取り込んでいる間よりも、何度も反芻して噛み砕いている間の方がきつい。
確実に数日は引きずりそうだ。

敢えて第三者的な目線での映像が、尚更にナチスの残酷さを感じさせてくれる。

目を背けたくなるシーンばっかりだけど、逆にこれほどまでに徹底して描いてくれたことで、ユダヤ人の悲劇や戦争を知らない世代に具体的に知る機会が与えられ、これは絶対に後世へと残すべき映画。

本当に遊んでいるように人が殺される。
蚊やハエを鬱陶しいからという理由で殺すのと全然変わらない。
これを同じ人間がしているということに、全く信じられないし、理解ができない。

ドイツ国民が、子供でさえもユダヤ人の迫害を何とも思っていないどころかそれこそが正義だと思い込んでいる。

でも、と思う。
日本だって戦争をしたのだと。

こういうの見ていつも思うことは、被害者の辛さはもちろんのこと、自分が加害者側と同じ立場にいた場合、加害者の異様な状況に気付けるだろうか?シンドラーのようにやれるだろうか?ということ。

改めてシンドラーの凄さに気付かされる。
彼の最後のシーンは物凄く心に残っている。
いつも毅然としてユダヤ人を救った彼が崩れるシーン。

「"正義"と"力"は違う。」
「戦争の時は恐ろしい人間は、平和な時だったら普通の人間。」
映像だけでなく、言葉も心に残る。

もう一度見るのはかなりしんどいけど、都度心に刻んでおきたい作品。
さくら

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