さくら

野いちごのさくらのレビュー・感想・評価

野いちご(1957年製作の映画)
4.0
死と老いと、それ故の過去への回想。

結局ラストは誰の何も解決してる訳じゃないけど、
主人公が栄誉賞授与までに至る自身の過去、特に自身が傷ついた過去を振り替えることで思考の転換となった時点を描いているように思う。

あとは家政婦、息子のお嫁さん、昔の恋人、奥さん、途中から同行した女の子などから聞かされる主人公の他者目線の評価が彼の為人を浮き彫りにさせる。

基本キーマンは女性が多い。
例外として、夢の中の試験監が男性だけど。

普通の罪。「孤独」。
確かに「孤独」の「老い」がこの物語のキーになっている。
ラストはまだ何も知らない、罪がなかった孤独でない子ども時代に救いを見いだしているのかなと思った。
(10人兄弟ってのも、尚更今の彼の孤独を浮き彫りにさせるキーワードな気がする。)

淡々とした彼の寂しさが尚更胸に沁みる。

自分なりにでも考察してこそこの作品の良さが分かる映画。
さくら

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