女

恋愛社会学のススメの女のレビュー・感想・評価

恋愛社会学のススメ(2009年製作の映画)
3.4
「俺を愛しているだろ」
「思い過ごしよ」



退屈…というより、マンネリ化した進行が多分正解な映画。観ているときは全然楽しくなくてどうしようかと思ったけど、今振り返ると嫌いじゃない作品でした。

個性的で素のままでいたい(けれど自分に時々自信がない)女と、嫌いな先輩に褒められたらすぐ調子よくなりがちなアーティスト気質な男(ちょっと薄毛)が、バカンスを異国で過ごす。2人の、開放的だけど、ちょっと閉鎖的な共同生活。


可能な限り中立的立場で、この2人の日々を眺めていたのだけれど、残念ながらわたしは辛うじてオンナであるからして、どうしても感情がそちら側に傾いてしまう。
おまけにこの女、情緒不安定ときたもんだ(そう、私が映画の中でなら許せる、拗らせ系!)

例えば事の最中に、
「コンドームをつけないで あなたを感じたい」という病的な言葉を投げかけた女に対する男の反応や、
ハイキング(あれ、ハイキングよね?)で岩ゴツゴツを敢えて選ぶ男を、安全な道から眺める女の気持ちや、
シャンパン抱えてサプライズしても男から返ってくる薄いリアクション、
さほど好みでもないワンピースを着てメイクをしてみたり、

空回りと疎外されたような感情がどうしても居たたまれなくなってしまう。
(※ゴムはつけよう)


終始女は痛々しいのに、
ラストにかけてみせる、彼女の“助走+窓からジャンプ”とか、性交渉の後の静けさとか、
所々に女の儚くて強いところが、自然に描かれていて、なんかもう流石だな、と思いました。このマーレン・アーデ監督は女性か。なるほどね。間違いなく、女の為せる業だ。


男ポジションで彼らを眺めてみても(ちょっとこれはオトコではないので、感想が雑になりますが)、
色々と気持ちは何となくわかる(雑)。

“映画をたくさん知っていて、少しスカしている文化系男子たち”にこの映画を観てもらって、どんな感じか感想を聞きたいけど、恐らくガッカリするようなレビューを聞かされると思う。そんな気がしている。

そういう映画でした。
女