さすらいの旅人

スプライスのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

スプライス(2008年製作の映画)
3.5
●新生命体はダンスがお好き?
【VOD/Amazon Prime/配信視聴/ビスタサイズ】

本作は「ザ・フライ」を観終わった時の後味の悪さに似ている。
遺伝子操作によって新種の生物を作り出した科学者カップルの物語である。その生命体は人間と動物の特徴を持ち、成長するにつれて人間らしい感情や知性を持つようになる。そして、彼らは自分たちの作ったものに対して愛憎入り混じった感情を抱くようになる。

本作は前半が圧倒的に面白い。新生命体の成長過程の体の変化や知能の進化などが具体的に見られるからだ。それはハラハドキドキの世界と同じで気分的にもワクワクする。初期の新生命体はエイリアンのようにすばしっこい。ただ、後半になるとクリチャー物の残虐な場面が多くなりB級映画臭くなるのが残念である。「スピシーズシリーズ」みたいなエロチックな性の問題も全面的に出て見世物小屋風になってしまう。

この映画は、エンタメ要素が強いが遺伝子操作によって生まれた新生命体と人間の関係を描いた社会的な映画でもある。科学技術が進歩する現代社会において、私たちはどこまで生命を創造することが許されるのか。そして、倫理的に問題ないのか。この映画は、そんな問題を投げかけている。