まーしー

スプライスのまーしーのレビュー・感想・評価

スプライス(2008年製作の映画)
3.0
シチュエーション・スリラーの代表作『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリ監督作品。
科学者の夫婦が生み出した新種の生物「ドレン」の成長を描く。
タイトルの「スプライス」は「接合」という意味。遺伝子を組み合わせた、新生物の誕生を指している。

前半は、『エイリアン』や『ライフ』を彷彿とさせる、モンスター映画。
科学者の夫婦が、戸惑いや葛藤を抱きながら、得体の知れない生物に向き合っていく。
この生物のビジュアルが特徴的。人間のようなエイリアンのような、何とも言えない気持ち悪さがある。

しかし、本作は単なるモンスター映画ではない。
後半は「性」が1つのテーマとなっており、この描き方がインパクト大。観る人によっては吐き気を催すほどかも。
同じように異生物の「性」を扱った作品に『スピーシーズ』があるが、その作品とは比較にならないほどの気持ち悪さがある。

作品全体を通して見え隠れするのは、科学の進歩がもたらす功罪。
人類を救う目的の研究が、時には暴走し、人を破滅させる恐れがあることを痛感させられる。

モンスター映画のように思え、人間の嫌な一面を描き、科学の発展への警鐘を鳴らした本作。
強烈な違和感を残す一本だった。