n0701

ヴォイス・オブ・ヘドウィグのn0701のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「midnight radio」、「origin of love」は歴史に残る名曲だ。

「wicked little town 」もとんでもない名曲で、ヘドウィグアンドザアングリーインチで別バージョンで流れるどちらもとんでもなく良い。

wicked little town の作成秘話も見られる。まぁ物語の本筋じゃないが、感動した。

物語は性同一性障害者を巡る彼ら彼女らの生きざまを追ったドキュメンタリーだ。家族に同性愛を告白し、異性の格好、言葉遣いをする。家族や一族、地域や習慣が彼らを決して許さない哀しみ。

同性愛は肌の色のように個性なのか?障害が個性なのか?人間の個性とはなんなのか。彼らは一人の人間だ。聖人のように言うならそうだが、どうしても奇異の眼は避けられない。彼らは小さい町の中で小さいコミュニティを作り、自分と向き合い戦う。健気だ。

だが、そんなことより、制作秘話だ。

何度聞いたか分からない名曲が目の前で作られていく。

作中のミッドナイトレディオでちょこっとだけ登場したオノ・ヨーコもあの奇妙な歌い方で参加する。ジョンキャメロンミッチェルと一緒にだ。凄い。

大好きな「Wig In A Box」も物語とオーバーラップし作品になっていく。もちろん
「ウィッグ・イン・ア・ボックス~ソングス・フロム・アンド・インスパイアード・バイ・ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ~」は持ってる。だが、持って聞いてるだけで、作品そのものを全然理解していなかった。

origin of loveが2曲しかも全然違う曲調な理由も。

まるで生きるということが、生物の多様性の上で成り立っているように、同じはずだった曲に別々の枝葉をつける。

愛の起源は男だとか女だとかではない、魂そのものを敬愛する型にはまった恋愛観ではない神秘的で敬虔なものなはずだ。

同性愛者の通う学校は様々な抗議に合いながら学校の権利を得る。

虐げられた彼らの尊厳がまさにベルリンの壁を壊したかのようだ。
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