ろく

アンタッチャブルのろくのレビュー・感想・評価

アンタッチャブル(1987年製作の映画)
4.5
ぶらいあんでぱるま⑥(ラスト!)

最後は大名作のこの作品。初めて見たのは封切りではなく友人の家のビデオだった。

「ロク、「アンタッチャブル」って知ってる?」友人はそういうとどうだとばかりこのビデオを見せてきたの。当時は僕も友人も映画研究部の一員。頭だけでっかちでお互い「この映画は知っているか!」って感じのマウント合戦。そして友人が満を持して見せたのがこの映画だったんだよね。

14インチのビデオで見ているはずなのにその展開に音楽に僕は吹っ飛んだ。なんだこの恰好いい映画は。まだまだ頭でっかちでそれほど映画を見ていない高校生はデ・パルマの此れに吹っ飛ばされた。

久々に観てみると、もう冒頭のモリコーネの音楽でずどーんですよ。もう心鷲掴みなの。あのデデデンって感じの音楽ね。

その後は騎兵隊のシーンでにこにこし、エレベーターのシーンで恐怖に震え(それはデニーロが笑いながら部下を殺すシーンで増幅され)さらにはショーンコネリーの殉職で涙し、乳母車のシーンではまさに手に汗握る。最後のビルの屋上の決戦なんか、ああそうだ、そうだと反復しながら見てしまった。

そうだ、たしかにデ・パルマはベタなんだよ。でもこれは粉うことなき「映画」なんだ。映画を見て我を忘れる、この作品はそんな地平に僕らを連れて行ってくれる。今、見ても乳母車のシーンのスローモーションは完璧だ。あそこで体を動かせなくなる。その後に拳銃をトスして打ち込むシーンは何度真似てみたか(当然モデルガン)。久々に観て、ああこの映画は確かに僕の「原点」なのかもしれないと一人ごちした。

だからすこしだけ僕の評価は甘いかもしれない。確かにベタだし展開も当たり前だと言われればそうだって気持ちにもなる。でもこの作品は僕を「映画」というと地平に連れていってくれたんだ。

※件の友人とはよく二人で映画ばかり見ていた。ダイハード、バタリアン、インディジョーンズ、BTTF、彼にはゾンビも教わったっけ。日本のアニメだとオネアミスの翼やパトレイバーも。今ではすっかり疎遠になってしまった。どこで何をしているやら。おーい、元気か。こっちはまだまだ見ているよ。

※これにてデ・パルママラソンはとりあえずおしまい。でも十分満足な出来の作品が多く、封切りなんか見ないで昔の作品見ろよって間違った思想を伝えたくなってしまう。それくらい十二分に面白かった。でもファントムの凄まじさがやっぱり一番。やはり僕にとってデ・パルマと言えば「ファントム」です。
ろく

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