父母ともに癌

ひとごろしの父母ともに癌のレビュー・感想・評価

ひとごろし(1976年製作の映画)
3.6
弱い侍が強い侍を倒さなければならなくなって、卑怯な倒し方をする話。

改めて書くとすごい話だな。
弱い侍が松田優作で強い侍が丹波哲郎。
松田優作という人の滑稽味がよく出ていて気持ちいい。

まあ追いつめられる丹波哲郎が可哀想で可哀想でちょっと観てられない。
段々松田優作に腹が立ってくる。卑怯だ。
なんかTwitterみたい、丹波哲郎が炎上させられてるの。どんどん生活がままらなくなる。辛くなった丹波哲郎が「正々堂々勝負せえ」と言っても松田優作は勝負しない。
追いつめて追いつめて追いつめた松田優作が丹波哲郎と対峙した時の両者の眼の表情の違いは見物。

結局強いものが弱いものを殺すのも卑怯であれば、知恵があるものが知恵の無いものを倒すのも卑怯なんだ、という気持ちにはなる。
ようはタイミングと立ち位置で、殺す側にも殺される側にも回るんだ、というようなことは再確認させられた。

でも、腕力の無い人間からすると確かにカタルシスはあったなあ。
父母ともに癌

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