このレビューはネタバレを含みます
1951年、日本初のカラー作品。当時は総天然色と呼ばれたもの。松竹30周年記念のかなりチカラの入った作品と位置付けられるでしょうが、にしては脚本が中途半端という印象。カルメン達、そしてカルメンの「芸術」との出会いが村の価値観にさまでポジティブな影響は与えていません。
ただ憐れむ側とただ物見遊山の側がいるだけでした。もっとも、村に幾ばくの亀裂を起こし、その結果、借金苦脱却に光明が差す家族もいるのではありますが、ささやかすぎませんかね…
当時の女優ですからストリップといっても諸肌さらす訳ではありませんが、別の言い方をすれば、当時の女優(しかも高峰秀子!)がここまで露出してくれるのはどれだけ話題をさらったことか。
ズロースのようなものですがパンチラはしっかりありますからね!
なお、ストリップシーンは軽井沢のド田舎で突貫で作った(という設定の安普請ですが、このステージがよいですね。
戦争を知る世代にとっては慰安興業を忍ばせるのではないでしょうか。
いづれにせよ、高峰秀子が可愛いのです。全力でおきゃんです!それだけで一見の価値あります。
本筋とは離れますが、わたしの一番印象的なシーンは、「故郷に錦を飾る」と意気込むカルメンが相方のマヤ朱美に、「洋服だってみんなから借りてきたんだよ、このまま帰るなんて…」(後半セリフうろ覚え)と漏らすシーンです。
朱美なんて洋服なくて衣装を私服として着ちゃったりしてるわけです。カルメンの故郷に錦を飾るという気概の中にある、なんて素晴らしい見栄が表れる台詞でしょうか。
この一言でカルメンがとても愛おしくなります。芸術家としての姿を寸分の隙もなく故郷に見せたいという、どこまでも本気なカルメンの姿勢が心打ちます。