ベルベー

アニー・ホールのベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

アニー・ホール(1977年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

表現方法が縦横無尽、皮肉屋でロス嫌いなザ・サブカル・ウディ・アレンが突然観客に語りかけれれば、街行く人々に自分の気持ちを代弁させようとする(そして失敗する)、時系列もなんのその、回想に割り込んで解説もするし、遂にはアニメにまでなってしまう。これが77年ってマジかよ。色褪せないなんてもんじゃない、未だに多くの映画はこれに影響を受けてはず。日本のエンタメなんて特に。「エターナル・サンシャイン」「モテキ」「四畳半神話体系」あたりが頭に思い浮かんだ。そしてアレン自身はフェリーニやベルイマンから影響を受けていると。

ウディ・アレン演じるアルビー(ほぼ本人笑)がまた最高に最低で、口を開けば皮肉ばっかり、自分に都合のいい発言ばかりで「大学なんてクソ」と言ったと思ったら「大学は行くべき」でもちょっとしたら「あんなヒドいとこなんで行くんだ!」とくる笑。この気難し屋と、夢見る女性アニーとのズレた会話が続く日々が超速テンポで描かれる。とにかくアルビーが自分勝手で、そりゃ別れるわなんだけど、いざ別れてみると寂しい。やり直したい。そんな男の情けなさをちょっと意地悪に、でも大変コミカルに見せる、大傑作だと思います。

マシンガンのように皮肉が出てくるウディ・アレンは勿論、ヒロインのダイアン・キートンも魅力的。オシャレすぎる。彼女の歌唱シーンも印象的。そのほか、言われてもわかんねえよ!って一瞬出てくるスターたち。カポーティとか、本物出してくるんだもんな笑。クリストファー・ウォーケン若すぎて分かんなかったし、ジェフ・ゴールドブラムとかどこにいたんだ。シェリー・デュバルは分かった。

果てには、2人の関係がハッピーエンドで終わる演劇まで作ってしまい、みみっちいことこの上ないアルビーだけど、ふとアニーと再会する。そして、お互いの道を尊重する。「恋愛なんてロクなもんじゃないけど、でもなくてはならないものなんだ」という締め方が実に良い。ただのスラップスティックじゃない、大人のラブコメディ。必見です。

ちなみに、日本語吹き替えの出来が凄まじい。というよりも羽佐間道夫。彼が天才と言われる所以がわかります。ウディ・アレンの口調を日本人風にして再現してみせるという圧倒的お仕事。聞いていて気持ちがいい。
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