深獣九

ブレインデッドの深獣九のレビュー・感想・評価

ブレインデッド(1992年製作の映画)
4.0
かつてこんなに汚物まみれで美しいキスがあっただろうか。

【注意:レビュー無駄に長いです】

みなさん少し思い違いをしているかもしれないが、『ブレインデッド』のジャンルは“ラブコメ”である。

簡単に紹介すると、占いババァから運命のふたりと告げられた主人公たちが、数々の困難を乗り越えて結ばれる、というお話。

詳しく言うと、資産家のマザコン息子ライオネルは、雑貨屋の看板娘パキータと結ばれたいと願っている。恋愛お花畑のパキータは、ババァの占いを信じライオネルに猛アプローチする。
話の流れからサクッと結ばれてもよさそうだが(サクッといくところもある)、そうは問屋がおろさない。
異常な過保護毒母や不意に訪れた介護の労苦、母親の死、財産と豪邸を狙うエロ叔父の登場など問題が一気に降りかかる。さらに見もしらぬ赤ん坊の世話までする羽目になり、ストレスは頂点に。自暴自棄となったライオネルは叔父にすべての財産を渡す約束をしてしまう。
浮かれた叔父は豪邸に大勢の取り巻きを呼びつけ、どんちゃん騒ぎを繰り広げるのだが、要介護者たちが暴れ出しパーティーは地獄絵図に。ライオネルとパキータは全員をぶち殺しめでたく結ばれる、というお話。

たぶん間違ってない。

ラブコメのコメの部分がやや特殊だが、けっこう笑えるし私好みでとても好感が持てる。お気に入りのコメは以下の通り。30年前のクラシック映画なのでネタバレはご容赦いただきたい。

・防腐処理の液体ぶち込まれすぎて緑の噴水になるババァ
・カンフー神父の活躍
・口から入れたオートミールが裂けた喉からこぼれてくるので直接喉からぶち込む
・喉に突っ込みすぎたスプーンが後頭部を突き破る
・怪物化しても性欲を失わない新婦と看護師
・切れ味を失わない芝刈り機とミキサーの刃はたぶん燕三条製

おわかりいただけただろうか。

ほかにも化け物の造形がもう好みすぎるし(頭電球女、半身リーゼント、内臓くん、顔半分メガネ、背骨首長ハゲ、圧巻はクライマックスのグレートヘルマザー!)、殺し方もバラエティ豊かで良い。口に突っ込んだ手を後頭部から突き出し、そのまま次の奴に掴みかかるのは最高にロックだ。

物語もていねいに撮られているので、勢いだけのB級ではない濃い映画として満足できる。
上映当時映画館で観ていたはずなのだが、そこまでクオリティの高さは感じなかった。あらためて鑑賞できたことに感謝。円盤欲しいけどプレミアついてるようだ。退職金出たら買おう。
深獣九

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